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木村草太の憲法の新手(95)校則問題(上) 下着の色は教育と無関係

  • 2019年1月6日
  • 09:42
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木村草太氏
木村草太氏

 大阪府立懐風館高校で、髪の黒染めを厳しく指導された生徒が不登校になり、府を訴えた。この報道以来、校則問題に注目が集まっている。





 まず、日本国憲法の下では、児童・生徒を含め、個人は自由であるのが原則で、それを制限するには、法的根拠が必要だ。しかし、「児童・生徒は校則に従わなくてはならない」と定めた法律はない。つまり、法的には「校則そのもの」は、自由制約を正当化する根拠とはならない。





 もっとも、学校は、教育機関として、在籍児童・生徒に教育に必要な指示や要求を出せる。また、学校教育法11条は、教育上必要がある場合に、児童・生徒らの懲戒処分を行うことを認める。加えて、学校の運営者は、建物や校庭など施設の管理権を持つ。





 このため、学校は、「校内喫煙の場合、一回目は訓告、二回目は退学」、「敷地内へのバイク進入禁止」等、法的権限を行使する基準を定めることができる。こうした法的権限の行使基準が、「校則」と呼ばれることもある。法的権限の行使基準は、児童・生徒を縛るものではなく、学校の権限行使に枠をはめるものと理解すべきだろう。





 では、この法的権限の行使基準の内容が、教育上不要・不合理な場合には、その基準に基づく指導や処分は適法と言えるのだろうか。





 この点、過去に、「自動車免許を無断で取得した学生に退学勧告を出す」と定めた校則に基づく措置の適法性が、最高裁まで争われたことがある(修徳高校事件)。





 免許取得は法令で18歳以上に認められており、単なる免許取得を理由に退学させるのは厳しすぎるだろう。そこで、最高裁は、「校則の規定だけで、退学勧告は正当化される」とは述べなかった。ただ、問題の退学勧告は、日ごろの非行の積み重ねの結果として正当化できる、とした。





 つまり、指導や処分の基準となる校則が定められていても、「校則に即していれば直ちに処分等が適法とされる」というわけではない。校則の内容が法の趣旨に反する場合には、校則に基づく処分であっても違法とされる。





 他方で、学校の法的権限行使と無関係な校則には、法的効果はない。それは、「学校からのお知らせ」や「校長先生のポエム」にすぎない。例えば、下着の色は教育と無関係だから、学校に指導権限はない。よって、下着の色を指定する校則があっても、法的には、生徒はそれを無視できるし、指導の呼び出しに応じる義務もない。教員が下着の色を強制的に確認すれば、強要罪にもなり得よう。





 この点、公立中学の丸刈り校則の適法性が争われた熊本地裁判決では、「唯一人の校則違反者である原告に対しても処分はもとより直接の指導すら行われていない」という運用を根拠に、丸刈り指導自体は適法とした。





 私には、丸刈りを生徒に求める合理的理由がわからず、そもそもそのような要求をやめるべきだと思う。しかし判決は、丸刈りを強制すれば違法だが、法的効果のない「丸刈り推奨」(いわば、丸刈りポエム)は止める理由もない、と考えたのだろう。





 このように、校則それ自体からは、法的効果は発生しない。次回は、これを前提に、校則の今後を考えたい。(首都大学東京教授、憲法学者)





 





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