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【まとめ】辺野古埋め立て承認から5年 あらためて検証した

  • 2018年12月30日
  • 06:00
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辺野古新基地建設に関する5年間の知事の主な発言
辺野古新基地建設に関する5年間の知事の主な発言

 沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、2013年に仲井真弘多元知事が沖縄防衛局の埋め立て申請を承認して27日で5年が経過した。翁長雄志前知事が今年7月に撤回を表明し県は8月末に撤回したが、国土交通相の執行停止を受けて政府は今月14日に初めて土砂を海域の一部に投入した。





新基地反対の民意高まる 時期や事業費は想定外





 ただ、工事は当初計画より遅れが生じ、仲井真氏と安倍晋三首相が約束した米軍普天間飛行場の5年以内の運用停止は期限となる来年2月の実現は不透明。辺野古反対の民意が県内世論の多数を占め続ける中で、5年前の承認時に想定された状況と異なっている。





 県は埋め立て工事に5年、軟弱地盤の改良に5年、埋め立て後の作業で3年を合計すると新基地完成までに13年かかり、普天間の早期の危険性除去につながらないと主張する。





 さらに、防衛局の資金計画書と実際の支払額、予想される大浦湾側の地盤改良、県外土砂の調達などを試算すると、計画書が2400億円とする事業費は概算で約2兆5500億円に膨れ上がることも指摘する。





 来年2月には埋め立ての賛否を問う県民投票が予定されるが、宜野湾市や宮古島市の市長が各議会が予算を否決したため投票を実施しない考えを表明した。





 一方で、市民からは意思表示の機会を奪うことへの反発もあり、2市を含めた市町村の対応が注目される。









工事は全体的に遅れ 護岸着手は予定の3分の1





 辺野古の工事の進捗(しんちょく)は工事区域によってばらつきがあるが、沖縄防衛局の当初の工程表に照らすと全体的に遅れている。計画では工事2年目に当たる本年度で、係船機能付護岸以外の護岸工事や埋め立て工事すべてに着手している予定だった。だが、現状で着手(完了)している護岸は、仮設の中仕切り護岸を除く15護岸のうち5護岸にとどまる。





 埋め立ても全3区域で始まっている予定だったが、今月土砂を投入した辺野古側だけしか進んでいない。





 政府は、大浦湾側に軟弱地盤の可能性が浮上し、当初計画していた工程変更を余儀なくされた。「軟弱地盤」付近に設置する「C1」「C2」「C3」と呼ばれるケーソン式護岸は、2年目には本体工事に入る予定だった。





 だが、防衛局が2014年から2年間実施したボーリング調査で、地盤が非常に軟らかいことを示す「N値ゼロ」の地点が続出。55カ所で追加のボーリング調査を実施している。調査期間は来年3月末までで、防衛省は工法については調査結果を踏まえ、「総合的に判断する」としている。





 そのため、18年度予算に盛り込んでいた同区域の護岸工事費約525億円を執行できず、19年度予算への計上も見送った。





 防衛局は大浦湾側の工事を先送りし、辺野古側の工事を優先的に進め、今月14日に「(2)-1」と呼ばれる埋め立て区域で土砂投入に着手。隣接する区域「(2)」と合わせ、20年7月末までに埋め立てる予定だ。





 13年4月に日米両政府で合意した計画は、調査・設計1年を経て、5年で工事を終わらせる計画だった。





 だが14年7月に調査・設計に入ったものの15年8~9月に国と県の集中協議があり、同10月に県が埋め立て承認を取り消すなどして、作業は一時中断。政府は全体の実施設計が整わないまま17年4月に護岸工事に着手したが、この時点で1年9カ月の遅れが生じていた。









他条件も実現不透明 キンザー全面返還など3点





 仲井真弘多元知事は2013年12月25日の安倍晋三首相との会談で、米軍普天間飛行場の5年以内の運用停止のほか県として三つの要望を伝えた。





 浦添市牧港補給地区(キャンプ・キンザー)の7年以内の全面返還、オスプレイ24機のうち半分の12機の拠点を県外に整備、日米地位協定改定-の3点は、5年以内の運用停止と同様に実現は不透明なままだ。





 キャンプ・キンザーは全体面積約270ヘクタールのうち13年8月に北側進入路1ヘクタール、今年3月に国道58号に隣接する約3ヘクタールが返還され、来年3月は西南側の約2ヘクタールの返還を予定。13年に県が求めた全面返還とはかけ離れた細切れ返還にとどまる。





 オスプレイ24機は現在も普天間を拠点とし、16年12月に名護市安部の海岸で墜落。1年も経過しない17年8月には普天間所属のオスプレイがオーストラリア沖合で墜落し、乗組員3人が死亡するなど県民の不安が広がっている。





 日米地位協定は環境問題を補足する協定が追加されたが県が求めている抜本的な改定には至っていない。





 また、安倍首相は承認直前の会談で沖縄振興計画に当たる「沖縄21世紀ビジョン」の期間中の2021年度まで政府の沖縄振興予算の3千億円台を確保する考えを示し、仲井真氏は「有史以来の予算」と手放しで評価した。





 14年度は3501億円を計上したが、辺野古反対の翁長雄志氏が就任して以降は16年度に微増した以外、毎年減額された。玉城デニー知事が就任して計上された19年度予算は過去5年の最低額と同額の3010億円に。政府が基地と振興のリンク論を否定する一方で、知事の政治姿勢と予算額を比較すると「アメとムチ」の構図が浮き彫りになる。









普天間運用停止、迫る期限 政府への批判必至





 仲井真弘多元知事は2013年12月27日に埋め立てを承認する2日前の25日、首相官邸で安倍晋三首相と会談し米軍普天間飛行場の5年以内の運用停止などの基地負担軽減策を要望した。安倍首相が「日本政府としてできることはすべて行う」と発言したことを受け、仲井真氏は埋め立てを承認。だが5年が経過した今、政府は期限となる来年2月の運用停止は困難との姿勢に転じている。





 安倍首相は13年12月の会談で5年以内の運用停止に直接言及しなかったが、仲井真氏は首相との「約束」であることを当時の県議会答弁で強調。政府は14年2月に運用停止を政府、県、宜野湾市で話し合う負担軽減推進会議を設置。「5年以内」の起点はこの時期とし、期限は19年2月となっている。





 ただ、政府はこれまで米側との協議が必要なことなど、ハードルの高さを強調してきた。





 さらに、14年知事選で辺野古反対の翁長雄志前知事が仲井真氏を破り県政が交代してからは、翁長氏が埋め立て承認を取り消すなど新基地建設に協力的でないことを理由に期限となる19年2月の運用停止実現は難しいとの主張に変化。今年11月に来県した岩屋毅防衛相は「辺野古への移設作業が遅れており当時の約束であった5年以内の運用停止は正直難しい」と明言した。





 しかし、仲井真氏は承認当時、辺野古の工事の進み具合とは切り離して5年以内の運用停止を求めていた。





 負担軽減推進会議は今年9月までの8回の会合を重ねても進展が見えず、来年2月の期限を過ぎれば政府は承認を得るための「空手形」だったとの批判は避けられない。


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