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問われる地位協定改定、議論へ一石 元防衛相と元沖縄防衛局長に聞く

  • 2018年3月31日
  • 05:00
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(左)自衛隊の米国駐留など幅広い観点から対等な日米地位協定の在り方を提起した石破元防衛相=衆院議員会館(右)「地位協定改定に取り組まなければ、県民の理解は得られない」と語る元沖縄防衛局長の井上氏=衆院議員会館
(左)自衛隊の米国駐留など幅広い観点から対等な日米地位協定の在り方を提起した石破元防衛相=衆院議員会館(右)「地位協定改定に取り組まなければ、県民の理解は得られない」と語る元沖縄防衛局長の井上氏=衆院議員会館

 【東京】相次ぐ米軍機による事故やトラブル、米軍関係者による事件を受け、与野党から日米地位協定の改定を訴える声が上がる中、石破茂元防衛相(自民)と、元沖縄防衛局長の井上一徳氏(希望)の元防衛省幹部も議論に一石を投じた。改定はなぜ必要なのか、両氏に聞いた。





 昨年12月に普天間飛行場所属ヘリから普天間第二小に窓が落下した事故を受け、石破氏は自身のブログで「日米地位協定の見直しに正面から立ち向かう必要性がある」とつづった。





 インタビューでは、日米同盟を強化し自衛隊が米国で常時訓練するようにすると、地位協定で「日本における米軍と、米国における自衛隊の扱いが対等かどうかというアプローチが必要となる」と持論を展開した。





 2016年4月に、うるま市で元軍属による女性暴行殺害事件が発生した際、沖縄防衛局長だった井上氏は今月20日の衆院安全保障委員会で「事件事故をなくすには地位協定の改定に取り組む必要があるのではないかと思うようになった」と打ち明けた。





 あくまで「日米安保体制を安定的に運用するため」との考えだが、改定に取り組まなければ「県民の理解は得られない」と、警鐘を鳴らす。





 





元防衛相・衆院議員 石破茂氏(自民) 見直しできぬはずない





 -普天間第二小学校に米軍ヘリの窓が落下した際、日米地位協定改定の必要性について提起した。





 「運用改善や補足協定など日本政府として可能な限りの努力はしてきた。地位協定本体の見直しは本当にできないのか。できないはずはない。河野太郎外相は地位協定問題に積極的に取り組んできた人。この機会に政府与党を挙げてまず取り組む、見直しありきではなくて、他との比較からしなくてはいけないと思っているし、併せて在米自衛隊ということを考えてみるべきではないか。防衛相の時も国会でそう答弁した」





 「グアムに在沖海兵隊の一部を移すに当たって日本は金銭的な負担をしている。グアムの米軍基地で自衛隊が訓練する、あるいは年に何回か米国で訓練をしているが、臨時でなく常に自衛隊が米国で訓練をするとなれば、合衆国における自衛隊の地位を定めた日米地位協定が必要になってくる。対等な地位協定は他国と比べてどうではなく、日本における米軍と、米国における自衛隊の取り扱いが対等かどうか。そういうアプローチも考えてみるべきだ。改定だ、いや、運用改善だと平行線をたどることは、これからの日米のためになるものではない」





 -安保法制で自衛隊の活動範囲が広がり、改定を議論する余地ができたか。





 「ごく限定的だが集団的自衛権が一部容認になったのは事実。国家安全保障基本法のような法律を作って、集団的自衛権を本当にこういう場合に限って認めるのだというのが必要だと思っている。地位協定に限って言えば集団的自衛権を認めないと改定に手が付かないのではなく、米国に自衛隊を常に置くことによって可能になる。集団的自衛権が認められないために、日米安全保障条約と一体である地位協定は改定不可能とはならない」





 -世論喚起の必要性も指摘したが、国民の理解を得るにはどうしたらいいか。





 「それは難しいことだ。日米安保について教わったことがない。何かあると米軍が守ってくれるのが日米同盟との理解が、国民の大多数ではないか。政府として日米同盟とはこういうものだと説いてこなかったから、理解が足りないのはやむを得ないことだが、事故が起きて国民の世論が激高して怒りに満ちて日米関係がおかしくなってからでは遅い。困難でも、政権にある側が説明しないといけない」(聞き手=東京報道部・上地一姫)









 





元沖縄防衛局長・衆院議員 井上一徳氏(希望) 県民の米軍理解へ必要





 -安全保障委で女性暴行殺害事件に触れ、地位協定改定を主張した。





 「当時、よく通った嘉手納町のおでん屋で地元の人と話したが、事件後、年配の人から、昔は誰にも言えず報道されないような悲惨な事件がもっといっぱいあったと聞いた。町民はそういう過去を伏せて、表面上は米軍とうまく付き合おうとしているけど、こういう事件があると昔の記憶が呼び戻され、『米軍は出て行け』みたいな気持ちになると訴えていた」





 「地位協定があるから、事件を起こすと米軍関係者は基地内に駆け込み結局、何も解決されない。だから改定してほしいという県民の思いは、政治的に左とか右とか関係ない。それまでは正直、地位協定改定を言うのは政治的に偏っているのではないかと思っていたが、沖縄に住み、それは違うと分かった」





 -事件を受けて、軍属の範囲を明確化する補足協定が結ばれた。





 「まず地位協定の改定に取り組む姿勢が大切だったと思う。そういうのを政府として見せないと、県民の理解は絶対に得られない。改定は外務省にとり、政治的に大変な課題だろう。もしかしたら憲法改正、そこまでいかなくても有事法制ぐらい大きな課題であるのは間違いない」





 「補足協定でも外務省が厳しい交渉をしたといっても、結果だけしか見ることができないから、県民はこれで十分なのかと不安に思う。交渉内容などは、合意しないと基本的には明かさない。それは逆だと思う」





 -他に具体的に改定の必要性を感じる点はどこか。





 「訓練の場所やルート、絶対に飛ばない場所というのを日米間でしっかり約束する。どこで訓練をやっているか分からないというのは、日本政府としてよくない。まさに主権の問題だ」





 「事故後の対応では、米軍だけで事故原因を調べて公表するのでは納得感が得られない。第三者が難しいなら、自衛隊の専門家ぐらいは入れるべきだ。日米間で調査をし、米側もそれを考慮した上で、運用を判断するべきだ」





 -日米安保体制への影響を危惧していた。





 「米軍そのものに反対する人もいるから、その部分で考え方が異なることはある。ただ、日米間で、特に県民に米軍が駐留することについて、理解してもらわないと安定的な運用はできない」(聞き手=東京報道部・大城大輔)


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