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裏付け不十分のまま…沖縄2紙に「報道の資格ない」 産経報道を振り返る

  • 2018年2月9日
  • 13:42
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「米兵救出報道」に関する産経新聞の8日付1面の「おわびと削除」(右下)と3面の検証記事(左)
「米兵救出報道」に関する産経新聞の8日付1面の「おわびと削除」(右下)と3面の検証記事(左)

 昨年12月1日に沖縄自動車道で発生した車6台が絡む事故の報道を巡り、産経新聞が沖縄2紙に謝罪した。「日本人として恥」「報道機関を名乗る資格はない」。裏付けが不十分なまま本紙や琉球新報を批判した産経の報道姿勢に、関係者からは「理解に苦しむ」と厳しい声も聞かれる。改めて経緯を振り返った。





 事故は昨年12月1日午前4時50分ごろ、沖縄市知花の自動車道で発生した。米海兵隊曹長の車は、前方の車に後ろから接触。路肩に車を止めて降り、道路にいたところをはねられたという。事故後、本紙記者は県警交通機動隊や交通指導課に「曹長は路上で何をしていたのか」と尋ねたが、「確認できていない」との答えだったため、翌日朝刊では確認できた事実関係のみを報じた。





 一方、産経新聞は同月9日に配信したネットの「産経ニュース」や12日付紙面で、曹長が日本人を救助した行為を2紙が黙殺したなどと報じた。産経から本紙への取材はなかった。





 「産経ニュース」では沖縄2紙を「『米軍=悪』なる思想に凝り固まる沖縄メディアは冷淡を決め込み、その真実に触れようとはしないようだ」などと批判。記事は11日付の八重山日報本島版にも大部分が転載された。ネット上では記事が拡散され、2紙への批判も広がった。本紙には県内外から「書かない意図は何か」などとの抗議や苦情が寄せられた。





 情報元はどこか、取材に漏れがあったか。本紙記者が再取材すると、県警は「産経新聞から取材を受けていない」「横転車の運転手は日本人に救助されたと話しており、曹長の事故時の行動は確認されていない」と回答。米海兵隊も「救助活動を確認できた者はいなかった」と答えた。





 そのため本紙は今月1日付で「救助行為が確認されていない」との記事を掲載。同日、横転車の運転手も弁護士を通じて「米軍関係者の方に救助された記憶はない」とコメントした。





 ある県警関係者は「報道機関にはそれぞれの立場があり、尊重されるべきだ」と強調する。その上で「事件・事故報道の在り方として裏が取れない事実を報じ、それを基に他紙を批判する姿勢は理解に苦しむ」と首をかしげた。





地元2紙を批判することが目的か





 砂川浩慶立教大教授(メディア論)の話 曖昧な情報の裏付けを取り、ニュースと判断したことを報道するのがメディアの仕事である。産経新聞の今回の報道は新聞の信頼度をおとしめ、インターネット上で流れる玉石混交の情報と何ら変わらない。しかし、ネットよりも信頼度が高いとされる新聞社が配信した記事として記事が拡散されており、多くの読者がそれを信じた。新聞界全体の信頼性を失わせる行為で、責任は重大だ。





 沖縄の地元2紙を批判することが目的となり、裏付け取材が不十分でも構わないと考えたのではないか。ネット配信が先に行われたことも原因の一つだと思う。産経新聞はネット配信に力を入れており、ネットとの親和性が高い。今後このようなことを繰り返さないよう、ネット配信の記事であっても当然ながら事実に基づいた報道をするよう徹底してほしい。





 地元2紙の指摘を受け、報道を検証し謝罪したことでうやむやにならなかったことは良かった。残念なことだが、間違いがあれば別のメディアが指摘し正しい情報を伝えていくことが必要な時代になっている。





 <事故を巡る本紙の報道>





 【2017年12月2日】米海兵隊の男性が重体 沖縄自動車道で6台絡む事故





 【2018年2月1日】産経報道「米兵が日本人救助」 米軍・県警は確認できず





 【2018年2月3日】「米軍関係者に救助された記憶ない」運転手が否定





 【2018年2月8日】米兵救出記事、産経が削除 沖縄2紙・読者に謝罪





 【2018年2月8日】産経新聞の「おわび」を受け本紙編集局長がコメント


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