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社説[2018 新年に]戦争起こさない努力を

  • 2018年1月1日
  • 15:23
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 年の瀬の那覇空港。リュックサックを背負った子どもたちの表情は晴れやかだ。帰省した家族連れを出迎えるおじいちゃん、おばあちゃん。暖かい沖縄で正月を過ごそうと観光客の姿も目立つ。航空便はほぼ満席である。





 クルーズ船に乗って近隣諸国・地域からも多くの観光客がやってきた。





 沖縄観光は国内外ともに絶好調で、県経済をけん引している。





 空港での風景は平和そのものである。





 しかし、沖縄にはもう一つの顔がある。華やかな観光の裏にあるのは、戦争準備としか思えないような米軍の激しい訓練と、県民の日常生活が脅かされている現実だ。





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 沖縄学の父と呼ばれた伊波普猷は、絶筆となった「沖縄歴史物語」(1947年7月9日)で、「どんな政治の下に生活した時、沖縄人は幸福になれるか」と自問し、こう答えている。





 「帝国主義が終りを告げる時、沖縄人は『にが世』から開放されて、『あま世』を楽しみ十分にその個性を生かして、世界の文化に貢献することが出来る」





 伊波の予言めいた言葉は逆の意味で的中してしまった。大国主義が台頭する東アジアは、不安定さを増すばかり。北朝鮮のミサイル・核開発、中国の海洋進出に対抗し、日本も防衛力強化の動きが顕著だ。2018年度予算案の防衛関係費は5兆円を超え、過去最大である。ミサイル防衛のための地上配備型迎撃ミサイル「イージス・アショア」、空自の戦闘機に搭載する長距離巡航ミサイルは北朝鮮のミサイル発射基地をたたく「敵基地攻撃能力」につながる。





 「専守防衛」という安全保障政策の基本方針が揺らいでいるのである。





 一方で、生活保護費は基準が見直され、最大5%の減額となる。今でもぎりぎりの生活を強いられている生活保護世帯にさらに追い打ちをかける。憲法25条がうたう「健康で文化的な最低限度の生活」が脅かされる事態だ。





 沖縄では辺野古新基地建設が進み、高江のヘリパッドが完成した。当初予算を大幅に超えたのは、建設に抗議する市民らを封じ込めるための警備費が増大したためである。





 南西諸島では自衛隊配備計画が着々と進む。日米一体の軍事要塞(ようさい)化に伴う沖縄の負担は計り知れない。





 観光は平和産業である。ひとたび武力衝突の事態になれば沖縄観光は吹っ飛ぶだろう。米同時多発テロの経験からも明らかである。





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 立法院(現在の県議会)は復帰前の1965年、憲法が適用されていないにもかかわらず、5月3日の憲法記念日を「祝祭日」とすることを全会一致で決めた。平和憲法への強い願望の表れだった。





 後に琉球大学学長になる金城秀三氏は同年5月3日の本紙に「憲法記念日にあたって」と題し評論を寄せた。





 「戦後日本の経験した二つの大きな政治的変革、日本国憲法の制定及(およ)び平和条約の締結のいずれについても沖縄住民は日本国の主権者たる国民の資格において主体的に参加することができなかった」





 「沖縄の住民はいまだかつて自らを主権者とする民主主義政治を享受する機会を与えられたことはなかったと言わなければならない」





 住民に重大な影響を及ぼす政策決定であるにもかかわらず、沖縄の民意はしばしば無視されてきた。





 1971年11月17日。屋良朝苗主席が「復帰に関する建議書」を手にして上京した日に衆院の特別委員会は沖縄返還協定を強行採決した。県民の思いを盛り込んだ建議書が国会で取り上げられることはなかった。





 復帰に伴って制定された公用地暫定使用法も、沖縄にのみ適用される特別法にもかかわらず、憲法に定められた住民投票は実施されなかった。





 沖縄の切実な声よりも米軍の運用上の都合が優先される現実は復帰前も復帰後も基本的に変わっていない。





 困難な時代の新年に当たって「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないようにする」(憲法前文)ことを改めて決意したい。


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