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木村草太の憲法の新手(66)衆院選の注目点 改憲提案ぼかさず明確に

  • 2017年10月15日
  • 12:45
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 衆議院解散により、総選挙・最高裁判事国民審査の日が近づいている。解散の不当性を今論じても詮無いので、投票の参考にしていただくべく、2点だけ指摘したい。





 第一に、選挙の争点の一つである自衛隊を明記する改憲について。自民党は、「政権公約2017」にて、「党内外の十分な議論を踏まえ」「自衛隊の明記」の憲法改正を目指すとしている。自民党は、2015年安保法制を維持する立場であるから、当然、集団的自衛権行使容認を前提とした改憲となるだろう。





 しかし、それならば、「自衛隊の任務として集団的自衛権を根拠とする武力行使が含まれることを明記」と、公約にも記載すべきではないだろうか。単に「自衛隊の明記」とするのは、集団的自衛権行使の是非に再び注目が集まるのを避けるため、あえて、ぼやかした表現を用いているように見える。





 この点、立憲民主党の「国民との約束」は、自衛隊明記の提案は「専守防衛を逸脱」するもので、「15年に強行採決された違憲の安保法制の問題をうやむやに」するものだと批判する。改憲提案の内容をぼやかしたままでは、仮に選挙に勝っても、提案に支持を得たと胸を張ることはできないだろう。





 また、「自衛隊の明記」には、武力行使の範囲が不明確だという問題もある。15年安保法制で定められた、自衛隊が武力行使できる「存立危機事態」とは、どのような事態なのか。法案審議時は、ホルムズ海峡の機雷掃海がこれにあたるかどうかが延々と検討された。近時は、北朝鮮によるグアム攻撃がこれにあたるかといった議論がなされている。人によって理解があまりに分かれる条文は、乱用や野放図な武力行使の拡大の危険がある。





 この点、日本維新の会は、「維新八策2017」にて、「存立危機事態」に代えて「米軍等防護事態」(日本周辺で、現に日本を防衛中の同盟国軍に武力攻撃が発生したため、我が国への武力攻撃の明白な危険がある事態)を規定し、武力行使の要件を厳しく限定すべきだと提案する。この文言であれば、武力行使の要件は明確になるし、武力行使の範囲も、従来の専守防衛の範囲に限定する解釈も十分可能だろう。





 自民党が、日本の防衛政策を真剣に考え、その信を国民に問おうと思うのならば、立憲民主党や維新の会のこうした提案に耳を傾け、自らの立場を明確にすると共に、行使要件の明確化、厳格化に取り組むべきだ。





 第二に、最高裁判事の国民審査について。今回は、7人の最高裁判事が審査対象になっている。沖縄との関係で私が注目しているのは菅野博之判事だ。菅野氏は、最高裁調査官、大阪高裁長官などを歴任した裁判官エリートで、昨年末の辺野古訴訟で国側全面勝訴の第二小法廷判決に加わっている。





 この連載でも指摘した通り、判決は、沖縄県の自治権侵害の主張を全て無視した。判決に疑問を持つ市民は、菅野氏に「×」をつけて意思を表示すべきだろう。沖縄県で菅野氏の罷免を求める投票が多数となれば、最高裁も沖縄基地問題に、少しは真剣に取り組むようになるかもしれない。





(首都大学東京教授、憲法学者)=第1、第3日曜日に掲載します。





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 お知らせ 本コラムを収録した書籍「木村草太の憲法の新手」(沖縄タイムス社、税別1200円)は、県内書店で販売されています。


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