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社説[「共謀罪」審議]疑問や不安なお消えず

  • 2017年5月6日
  • 09:05
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 世論の強い反発で過去3回廃案となった「共謀罪」法案が、内容を一部修正の上「テロ等準備罪」と名を変え国会で審議されている。





 これまでの審議で明らかになったのは、政府答弁の矛盾や市民が対象となる可能性、権力乱用の懸念などである。議論が深まったとはいえず、疑問や不安は解消されないままだ。





 政府は「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案について、国際組織犯罪防止条約(TOC条約)の締結に欠かせないと指摘する。2020年の東京五輪に向けたテロ対策として不可欠との説明である。





 だがTOC条約はマフィア対策が目的で、国連広報センターがテロ防止のためとする14条約に含まれていない。





 国連の「立法ガイド」の執筆者で米ノースイースタン大のニコス・パッサス教授も「テロ対策は条約の目的ではない」と明言している。(5日付朝日新聞朝刊)





 テロといえば理解が得やすいと考えているのなら国民を欺く手法だ。安倍晋三首相がよくいう印象操作ではないか。





 当初、与党に示した条文案に「テロ」の文言がなかったことからも分かるように、政府の説明には一貫性がない。





 「一般人は捜査対象にならない」と繰り返す金田勝年法相に対し、衆院法務委員会で盛山正仁法務副大臣が「一般人が対象にならないということはない」と打ち消す場面があった。法相答弁との食い違いを指摘され、後日、答弁を修正するというお粗末さである。





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 戦前、共産主義者を摘発するため制定された治安維持法も、最初は一般人は対象にならないといわれていた。しかしその後、労働組合などの関係者に適用対象が広がり、思想・言論弾圧に利用された。





 今回の法案も反基地や反原発運動など政府に批判的な団体を狙い撃ちする危険性が指摘されている。





 例えば新基地建設にからみ数人が辺野古のゲート前に「ブロックでも積もう」と話し合い、誰か1人が銀行でお金を引き出しブロックを買うことが準備行為と見なされ、組織的威力業務妨害罪で立件される可能性がある。





 高江や辺野古で抗議する市民を過剰なまでに警戒し、強制排除し、逮捕者を長期勾留する対応を思い起こせば、考えすぎとはいえまい。テロ対策に名を借り市民を監視する社会がそこまで来ている。





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 「共謀罪」を審議する衆院法務委は連休後に再開する見通しだ。





 答弁が不安定な金田氏を補佐する政府参考人として法務省幹部の出席を野党の反対を押し切って決めるなど、目立つのは与党の強引な委員会運営である。





 政府・与党は天皇退位特例法案の国会提出や東京都議選への影響を考え会期内の成立を目指すとする。担当閣僚が説明できない法案を国民に理解してもらおうというのはめちゃくちゃな話である。





 内心の自由を脅かしかねない法案だ。スケジュールありきの拙速審議は許されない。


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