福井と沖縄、原発と基地のニュースサイト

「子のための風よけに…」三上智恵監督がタイトルに込めた思い 沖縄描く映画「標的の島 風かたか」

  • 2017年3月24日
  • 21:12
  • Twitterでシェア0
  • Facebookでシェア0
  • Google+でシェア
  • 0
「標的の島 風かたか」のワンシーン。雨が降りしきる中、機動隊員と女性の視線が交錯する
「標的の島 風かたか」のワンシーン。雨が降りしきる中、機動隊員と女性の視線が交錯する

 三上智恵監督の新作ドキュメント映画「標的の島 風(かじ)かたか」では、基地建設などが進む四つの現場を群像劇のように追っていく。市民の声とともに米の戦略、各地で受け継がれる伝統など異なる題材に焦点をあてて、沖縄で培われてきた精神性を浮かび上がらせる。三上監督から新作に込めた思いを聞いた。





4つの現場が舞台





 作品で紹介されるシーンは2016年6月19日の県民大会から、沖縄平和運動センターの山城博治議長の釈放を求める2月の集会までの期間が中心。舞台は自衛隊配備に揺れる宮古と石垣、米軍の新基地建設が進む名護市辺野古と東村高江だ。





 「自衛隊は同じ日本人という近さから米軍ほどなかなか論じられず、存在を否定することは難しい。でも根っこは同じ」とテーマを語る。





 自衛隊配備について、宮古と石垣での住民説明会にカメラは入る。市民の反対や賛成、疑問の声を連ねていく。両島のシーンは一般市民が普段の生活を営む様子とともに描かれる。その一方で辺野古と高江で繰り広げられる市民と機動隊の激しいぶつかり合いは異質さを感じさせる。





 「宮古、石垣で先行上映会を開いたとき、見た方々は(辺野古と高江の排除光景に)絶句していた。自分たちの土地でも同じことが起きるかもしれないと初めて想像したかもしれない。私たちが宮古、石垣の現状を詳しく知らないように、やんばるの状況を知らない先島の方々も多い」と指摘する。





その土地ごとの色彩





 一方、沖縄の民俗学を学び続け、修士号を持つ三上監督ならではのアプローチもした。市民活動のシーンの合間に、島々で継がれる伝統を伝え、現地の息づかいを作品に吹き込んだ。





 宮古の「パーントゥ」では泣き叫ぶ子供たちと、それをほほえましく見守る大人たち、石垣の「アンガマ」をベッドからじっと見つめる高齢女性の表情をカメラで捉える。石垣の女性が「とぅばらーま」を歌うシーンも重厚に描かれる。





 「その土地ごとの色彩を伝えたかった。私にとって石垣の伝統行事はカラフルで、宮古はアースカラーの印象。土地によって違う素晴らしさがある」と説く。そして島の伝統行事には圧政と向き合ってきた先人の強さや次世代を思いやる心があるという。





「風かたか」に込めた思い





 また識者インタビューを元に中国の軍事台頭をにらんだ米の「エアシーバトル構想」にも触れる。





 「辺野古、高江の米軍基地建設と先島の自衛隊配備は同じ戦略の中で展開されている。アメリカはいざ中国と衝突しても、米本国に被害をさらさないため日本列島全体に防衛ラインを敷いてアジアでとどめようとしている」と解説する。続けて「タイトルの『標的の島』の『島』はどこなのか。どこからどこまでなのか。見た人それぞれに考えてほしい」と問いを投げ掛ける。





 また、サブタイトルの「風かたか」にはメインタイトル以上のメッセージを込めた。作品冒頭の県民大会で歌う古謝美佐子の「童神」の歌詞を引用した、子のための風よけ、防波堤という意味の言葉だ。





 監督の口調は熱を帯びる。「次世代のために先祖から継いできた地を守る。命を残す。これが沖縄の願い。なぜ人々は闘うのか感じ取ってほしい」。(学芸部・松田興平)





 同作品は那覇市の桜坂劇場で上映中。


基地 from 沖縄 カテゴリーニュース

原発 from 福井 カテゴリーニュース

原発 from 福井 カテゴリーニュース

基地 from 沖縄 カテゴリーニュース