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社説[駆け付け警護]政府は責任もてるのか

  • 2016年11月16日
  • 07:46
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 政府は15日の閣議で、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣する陸上自衛隊に、「駆け付け警護」の任務を付与することを決めた。昨年9月に成立した安全保障関連法で定められた新たな任務である。





 集団的自衛権の行使を認め、海外での自衛隊活動を大幅に拡大した同法は、いよいよ本格運用の段階に移る。





 離れた場所にいる国連や非政府組織(NGO)の職員らが武装集団や暴徒に襲われた際、武器を使って警護するのが「駆け付け警護」である。





 宿営地が武装集団に襲撃されたとき、他国軍とともに「宿営地の共同防衛」にあたる任務も新たに付与する予定だ。





 新任務は、自衛隊員が戦闘場面に直面し、「殺すリスク」と「殺されるリスク」がともに高まるという点で、派遣される隊員に大きな負担を負わせることになる。その面の論議が不十分だ。





 陸自は先月、「駆け付け警護」など新任務の訓練を初めて報道陣に公開した。訓練では「法的に何ができて何ができないかを体に染みこませた」という。





 憲法9条は交戦権を明確に否定している。だが、武装集団は9条を考慮して襲ってくるわけではない。憲法9条を前提にした「想定」と、南スーダンの厳しい「現実」には大きな裂け目があり、「想定」が突発的な「現実」に飲み込まれるおそれがある。





 国民的合意が得られず、理由もはっきりしないまま、隊員を危険な新任務に就かせるのには賛成できない。





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 南スーダンは2011年7月、スーダン共和国の南部10州が住民投票を経て分離独立し、国連加盟が認められた。 だが、13年12月に大統領派と副大統領派による大規模な戦闘が発生、首都ジュバやその周辺の治安状態は今も不安定な状況が続いている。





 政府は駆け付け警護の実施を自衛隊宿営地のあるジュバとその周辺に限定するが、そのジュバでも7月、政府軍と反政府勢力との間で大規模な戦闘が発生し、270人以上が死亡。国連も8月12日から10月25日までの情勢をまとめた報告書で状況が依然、不安定であることを認めた。





 15日の参院特別委員会で安倍晋三首相は「ジュバは楽観できないが、現在は比較的落ち着いている」との現状認識を明らかにした。





 「比較的安定」という判断がどのような物差しに基づいているか、つまびらかでないが、実績を作りたいあまり現地情勢を甘く見積もっているところはないか。





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 政府は、PKO参加5原則が満たされていても活動実施が困難な場合は撤収する、ことを15日の閣議で決めている。状況判断の難しさは想像するにあまりある。





 銃の引き金に指をかける行為は、隊員自身にとって途方もない判断になるだけでなく、国のあり方をも揺さぶる重さを秘めている。隊員はその重さに耐えられるだろうか。





 PKOそのものが変質しつつある現実を踏まえ、国際貢献のあり方を検討し直すべき時期にきている。


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