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<米大統領選・トランプ氏勝利>沖縄の基地、対日政策…どうなる? 識者2人の見方

  • 2016年11月10日
  • 08:13
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(左から)猿田佐世氏、池上大祐氏
(左から)猿田佐世氏、池上大祐氏

在沖米軍縮小の可能性 猿田佐世氏(新外交イニシアティブ事務局長)





 トランプ新大統領の下での対日政策は予想が極めて困難である。





 米国では大統領が代わるごとに政権の高官が何千人単位で入れ替わり、新しい政策を実行していく。これまでは、民主党系、共和党系の知日派が大統領選ごとに政権内に入ったり出たりして対日外交を担ってきた。もっとも、共和党系の主要な知日派たちは皆、選挙期間中にトランプ不支持を明言しており、トランプ氏が彼らを政権入りさせるかどうかは疑問も強い。となると、経験のない者に対日外交を担わせるか、妥協含みで既存の外交をつかさどってきた人々を政権入りさせるかいずれかの選択となろう。





 「駐留経費を全て払わなければ、米軍を撤退する」という発言ばかり日本では強調されるが、現実には米国が対日政策を大きく変更する可能性は高くない。予算を握る米議会や、日米におけるこれまでの安保担当者などの抵抗が極めて強い中、既存の政策の大転換を必要とする氏の多くの公約のうち対日外交は優先順位が高いものではないからである。トランプ陣営のスタッフも、当選すればもう少し現実的な路線をとると日本に対し説明もしてきた。





 なお、改変に着手した場合でも、米国の利益を計算した上での変化となり、やはりこれまでの主張ほど極端なものにはならないだろう。氏は米軍の日本駐留が米国のためのものであることを知ることになる。





 もっとも、その場合であっても、真の意味で不要なものは撤退・縮小させる可能性がある。





 例えば、予算が限られる中での孤立主義において、米軍の海外展開は、最も縮小対象にしやすい分野である。在沖海兵隊の辺野古基地建設は、政治的リスクも高く、時間もかかり、抑止力の点で他に取りうる手段がある中で、米国にとって変更が比較的容易な政策であるともいえる。





 もちろん、辺野古案撤回や海兵隊沖縄撤退には、これまで外交を担当してきた日米関係者からの抵抗が強いだろう。しかし、必要な撤退費用や他地域での米海兵隊の運用に必要な施設整備などにかかる経費を日本が出すことで、トランプ氏の「国益維持・米軍増強」の公約と一致させ、実現可能な政策とすることができるかもしれない。





 介入政策をとらないとするトランプ氏にとっては、現在米国が広く担う東アジア地域の災害救助などを日本が代わりに行うことも米国に提示できる条件となるだろう。





 これを機会に、日本が主体的に、真に日本のためになる政策を考えていく必要がある。この激震を、あるべき外交政策を実現する機会とせねばならない。





 ■さるた・さよ 1977年生まれ。愛知県出身。弁護士。早稲田大学卒業。ニューヨーク州弁護士。新外交イニシアティブ(ND)事務局長として、稲嶺進名護市長や議員団の訪米行動の企画、運営を担当。近著『新しい日米外交を切り拓く』が先月発売となった。









 





安保再検討、絶好の機会 池上大祐氏(琉球大准教授)





 保守色の強いトランプ氏は、一見して軍需産業と結びついて他国の紛争に積極的に関与する“ネオコン”と思われがちだが、そうではない。米国の識者には、共和党内の「アメリカ・ファースト・ブロック」(米国第一主義)層とみられている。





 このグループの傾向として、他国への関与より米国内の産業振興を重視する「孤立主義」がある。





 また、黒人や移民の積極登用などを意味する「アファーマティブ・アクション」(積極的に差別を是正する措置)を「逆差別」だと批判したり、イラク戦争を費用負担の観点から「国益にならない」と反対したりする特徴もある。





 日本の安全保障にとって最大の特徴は、第2次大戦後、米国に初めて「世界の警察」を掲げない大統領が誕生したことだ。過去の大統領は程度の差こそあれ「国際主義」の名の下に、軍事介入をためらわなかった。





 しかし経済的合理性を重視するトランプ氏は、他国に駐留する米軍の撤退にも言及しており、日本側は新大統領にどう向き合うべきか困惑しているだろう。





 名護市辺野古で新基地建設に抗議している市民と話をすると「トランプ氏が就任すれば、辺野古移設を再考してくれるのではないか」との期待を感じることもある。





 ただ、私はトランプ氏が就任後、仮に本気で在沖米軍の撤退を望んでも、引き留めるのは日本政府ではないかとみる。





 1960年代に在沖海兵隊の撤退が検討されたときも、駐留の継続を望んだのは日本側だった。普天間飛行場の県外移設を掲げた鳩山由紀夫首相が誕生したときも、日本政府の官僚が米国に辺野古移設を堅持すると注進していた。





 本来は日本の安全保障を再検討し、在日米軍の再編成を実現する絶好の機会ととらえるべきではないか。





 トランプ氏には現時点で、対アジア戦略の明確なビジョンがあるとは考えづらく、沖縄に関する知識も乏しいだろう。





 ワシントンに事務所を置く県は、従来のロビー活動に加え、沖縄が背負ってきた基地負担の歴史や自己決定権を求める民意などを、米新政権へ積極的に発信する必要がある。





 また、大田昌秀県政時代に力を入れた米国内での公文書発掘にも取り組み、学会や国際社会などに連帯を広げる努力も求めたい。(米国現代史)





 ■いけがみ・だいすけ 1978年、福岡県出身。福岡大人文学部卒。主な著書に「アメリカの太平洋戦略と国際信託統治 米国務省の戦後構想1942~47」など。現在は琉球大法文学部准教授。


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