福井と沖縄、原発と基地のニュースサイト

電力自由化の波、需要先行きに不安も 敦賀原発3、4号始動(下)

  • 2004年4月1日
  • 18:00
  • Twitterでシェア0
  • Facebookでシェア0
  • Google+でシェア
  • 0
敦賀半島先端に位置する日本原電敦賀原発3、4号機の建設予定地。左奥は敦賀1、2号機と核燃料サイクル開発機構のふげん発電所
敦賀半島先端に位置する日本原電敦賀原発3、4号機の建設予定地。左奥は敦賀1、2号機と核燃料サイクル開発機構のふげん発電所

 一キロワット時当たりの発電単価は原発が五・六円、石炭火力五・九円、LNG(液化天然ガス)六・一円―。電気事業連合会(電事連)は昨年、使用済み燃料の再処理などバックエンド(後処理)のコストを含めて発電単価を再試算した。これまで原発推進の理由の一つとしてコスト面での優位性が語られてきたが、必ずしも競争力が優れているとはいえない数字だ。

 今、コスト圧縮は電力各社の至上命題だ。日本原電も例外ではない。敦賀3、4号機増設(福井県敦賀市)では当初より建設費を約六百億円削った。鷲見禎彦社長は「出力当たりの建設費の安さは、ほかの電力がどこも成し得ていない」と自信をみせる。福井事務所の前川芳土次長も「見直し後の計算なら五・六円の発電単価が十分可能」と強調する。

  ■  □  ■

 日本原電は、電力会社に電気を売る卸専門。電力需要が伸び続けていた時代は「定検で原発停止期間が長ければ、そのコスト分を上乗せした売電価格でも買ってもらえた」(前川次長)。ところが、景気停滞による需要低迷と、電力小売り自由化の波で状況は一変した。

 現在は大口需要向けだけの自由化だが、二○○七年度には一般家庭用の小口まで拡大、規制枠がなくなる。競争の激化は必至だ。

 関西電力は新年度から大口需要向けの電力料金を大幅に引き下げるなど他業種から参入したライバルへの対抗に躍起。敦賀の増設分の電気は半分を引き受けるが「日本原電に対してコスト削減を求める圧力は相当なものだった」と業界関係者は漏らす。

 志賀原発2号機の運転開始を○六年に控える北陸電力も似たような状況。敦賀原発の受電について「コストがさらに安くなるに越したことはない」(堂谷芳範経営企画部設備・需給チーム統括副部長)。ただ、志賀2号機の電力でさえ関電や中部電力に買ってもらう立場で「自社の電力が余っているのに、敦賀原発の電気はいらないのが本音」との見方が大勢だ。

  ■  □  ■

 厳しいコスト競争に加え、電力需要の伸び悩みが先行きの不透明感を増幅している。

 二年前に二○一○年度までのエネルギー需給見通しを策定した経済産業省は、今年に入って三○年度までの長期需給見通しをまとめる作業を始めた。二二年度をピークにエネルギー需要は減少に転じるとも試算する。基幹電源との位置付けは変わらなくても、原発立地計画が下方修正される可能性はある。

 原電側は、ここ十年の電力需要の伸びを1・1%と想定。敦賀原発から電気を買う三社の供給計画で受電が位置付けられている点を強調する。しかし、経済社会情勢を十年、二十年先まで見通せる状況にはない。

 増設工事入りを熱望していた地元敦賀市の建設関係者でさえ「確かに工事は始まるだろう。しかし、コストや需要が現実に合わなければ、途中で計画断念した大阪ガス基地建設の二の舞になるのでは」と懸念する。

 こうした不安を打ち消すように鷲見社長は「必ずや将来必要な電源になると確信している」と語る。自らに言い聞かせるようにも聞こえる。だれも確実な見通しを言い当てられない中、およそ十年後の運転開始を目指して増設の工程は一歩踏み出した。

  ×  ×  ×

 敦賀原発3、4号機(福井県敦賀市)増設で、準備工事入りに向け手続きが進み出した。構想が明らかになり十一年。計画は曲折し、原子力、エネルギーを取り巻く環境も激変した。地元の特需に対する期待、電力需要への不安…。増設をめぐる動きを探る。


基地 from 沖縄 カテゴリーニュース

原発 from 福井 カテゴリーニュース

原発 from 福井 カテゴリーニュース

基地 from 沖縄 カテゴリーニュース