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進まぬ国民理解、中立的議論の場必要 動きだす高浜原発3、4号(6)

  • 2016年1月25日
  • 10:26
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林経産相(左)から原発の国民理解に向けた政府の具体的な取り組みを聞く西川一誠知事=昨年12月20日、福井県庁
林経産相(左)から原発の国民理解に向けた政府の具体的な取り組みを聞く西川一誠知事=昨年12月20日、福井県庁

 「知事は国民理解を訴えているが、県民も(国民に)入る。県民説明会を開催すべきだ」(共産党の佐藤正雄県議)

 「電力消費地など全体的な理解が進んでいない。県内は他地域より理解が進んでいる」(西川一誠知事)

 関西電力高浜原発3、4号機の再稼働をめぐる昨年12月福井県議会での論戦だ。西川知事は同意判断で、特に消費地での原発の理解促進にこだわった。

 背景には心痛めた経験がある。東京電力福島第1原発事故後、国内初の再稼働となった2012年の関電大飯3、4号機の同意手続きだ。消費地の関西圏が再稼働に反発。立地地域が悪者扱いされる風潮に地元住民は傷ついた。

 消費地の電力を長年支えてきた立地地域の苦労と貢献、日本の社会経済のために原発が必要だと国民が理解すること―。この対応で政府の言質を求める県のスタンスは、大飯再稼働のときも今回の高浜でも一貫していた。

 昨年12月20日に来県した林幹雄経済産業相は「全都道府県でシンポジウムや説明会を展開する」と述べ、国民理解の取り組みを約束した。

 ただ、県民理解に関して知事の弁明は苦しい。県主催の住民説明会の開催は否定し続け、「高浜町長の同意や県会の決議が(理解の)表れ」とぼかした。県に対し、県民理解への責任や広報強化を問う声は県会でも相次いだ。

 福島事故で全町避難が続く福島県浪江町の馬場有(たもつ)町長は「福島の教訓として、住民に原発の安全性や万一の事故の可能性、避難計画などの安心できる体制を説明する責任が自治体にはある。立地町だけではなく、比較的人口の多い周辺自治体でも説明会は必要だ」と指摘する。

 本県に隣接する京都府は高浜原発から30キロ圏の7市町と共催し、各市町で説明会を開いた。説明会が全てではないが、西川知事が他地域より理解が進んでいるとする根拠は分かりにくい。県民理解への取り組みは今後重要となる。

 福島事故から約5年。事故は収束が見えず、原発に対する世論は二分したままだ。「推進、反対で意見がそれぞれ固着し、関心自体も落ちている。シンポで理解活動をしたぐらいでは変わらない」と指摘するのは、千葉大の神里達博教授(科学史)。

 国と推進派は地球温暖化や燃料費増による国富の流出を憂いて原発は必要と主張し、反対派は事故の危険や国民の生命財産が失われると訴える―。議論はかみ合わず、イデオロギーや政治的対立も絡み二分しているという。

 12年に民主党政権下で進めた将来の原発比率を選択する「国民的議論」は、討論型世論調査=Wワードファイル=を取り入れるなど、手法は斬新だった。だが議論した実質の期間は短く、合意形成にはほど遠かった。

 神里教授は、政府と一定の距離を置き、原子力政策の是非を問うオープンな議論を始めるべきだと強調。超党派の政治家が中心となって推進、反対両方の専門家を呼び、無作為に集めた市民が質疑や議論を徹底的に尽くす「コンセンサス会議」を提案する。

 国民の合意形成に向けた中立的な議論の場が求められる。


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