福井と沖縄、原発と基地のニュースサイト

原発特需頼み脱却なるか 敦賀原発3、4号始動(中)

  • 2004年3月31日
  • 17:52
  • Twitterでシェア0
  • Facebookでシェア0
  • Google+でシェア
  • 0
日本原電が敦賀半島先端に建設する敦賀原発3、4号機の完成予想図
日本原電が敦賀半島先端に建設する敦賀原発3、4号機の完成予想図

 「本体(工事)では無理だが、地元は準備工事で潤う。運転開始は遅れても、準備工事は進めてもらわないと」。二〇〇四年二月半ば、西川一誠・福井県知事に直談判に来た北村柳之助敦賀商工会議所会頭は、地元の本音を代弁した。総額七千七百億円の大型プロジェクトに地元産業界は熱い視線を注ぐ。福井県内経済への波及効果は千百億円とされる。“特需”に期待する構図は今も昔も変わらない。

 二十九日、鷲見禎彦日本原電社長を呼んだ西川知事は、工事で地元企業を活用するとともに、技術移転や事業者の育成を進めるよう要請。「目標を設けて」とも注文を付けた。知事の言葉は「一時的なカンフル剤に終わらすわけにはいかない」とも聞こえる。

  ■  □  ■

 「地元発注の拡大をお願いしたい」「発注先が分かれば営業活動ができる。ぜひ知らせてもらいたい」。二百八十社が名を連ねる敦賀商工会議所の大型プロジェクト関連企業協議会(大プロ)。一月の会員交流会では原発事業者や国、県、市職員らに対し「お願い」が相次いだ。最も期待をかける相手は日本原電。会場の熱気は増設への渇望ぶりを物語っていた。

 期待は地元にとどまらない。知事と原電社長が会った二十九日。県経団連は早速「地元企業への優先発注は、敦賀市だけでなく、本県全体の景気回復や経済活性化に弾みがつく」と歓迎のコメントを出した。

 モノの流れだけではない。準備工事で約千人、本体工事で三、四千人といわれる作業員が敦賀で暮らす。関連して落ちるカネは大きい。

 敦賀市内ではここ二、三年、アパートやマンションの新築が急増。ある不動産業者は「ハウスメーカーが地主を説得する際に『原発増設』を口にしている」と、既に増設を織り込まれている実態を話す。「入居者でまた活気づいてくれれば…」と思い浮かべるのは、もんじゅや北陸電力火力発電所が着工した一九八○年代後半のにぎわいだ。

  ■  □  ■

 しかし「特需に期待しても、建設が終われば再び同じ道を歩む」と冷ややかに見る向きはある。

 数年前に民宿を増改築した主人は「作業員はドッと来るが、スッといなくなる。何度繰り返したことか。もはや原発だけに頼っても経営は立ちゆかない」。敦賀の味覚を売り物に観光客を増やす地道な努力を続けている。「今は(観光客が増えている)流れを途切れさせたくない」と増設には複雑さをのぞかせた。

 「経済波及効果で終わるのでは意味がない。原子力を生かした企業づくり、地域づくりに本腰を入れなければ」と指摘するのは敦賀商工会議所の中村秀男専務理事だ。

 例に挙げるのは、原発の特許を生かして新分野へ進出する試み。二○○○年から約二十事業所の実績があり「さらに底辺を拡大させ産業として次のステップに踏み込まなければ」と中村氏は力を込める。

 エネルギー研究開発拠点化を目指す県も、増設を機に先端技術を地元企業へ移転させるような取り組みが不可欠とみる。

 「われわれは『早く造ってくれ』と叫んできたが、もろ手を挙げ喜んではいられない」と大プロの室敬士・工事総括部会長は気を引き締める。特需頼みを脱して自助努力の機運は芽生えるのか。

  ×  ×  ×

 敦賀原発3、4号機(福井県敦賀市)増設で、準備工事入りに向け手続きが進み出した。構想が明らかになり十一年。計画は曲折し、原子力、エネルギーを取り巻く環境も激変した。地元の特需に対する期待、電力需要への不安…。増設をめぐる動きを探る。


基地 from 沖縄 カテゴリーニュース

原発 from 福井 カテゴリーニュース

原発 from 福井 カテゴリーニュース

基地 from 沖縄 カテゴリーニュース