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規制体制強化へ検査官能力向上を 動きだす高浜原発3、4号(2)

  • 2016年1月20日
  • 07:48
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高浜原発の重大事故訓練で、関西電力の作業手順などを確認する原子力規制庁の保安検査官(右奥1、2人目)=11日、福井県高浜町
高浜原発の重大事故訓練で、関西電力の作業手順などを確認する原子力規制庁の保安検査官(右奥1、2人目)=11日、福井県高浜町

 「国としての事故対処の最前線を担うべき立場で、自覚に欠けた」。東京電力福島第1原発事故で、旧原子力安全・保安院の現場の保安検査官は消極姿勢だった―と、政府の事故調査・検証委員会は報告書で問題視した。

 東日本大震災が起きた5年前。地震発生翌日の3月12日、同原発にいた保安検査官5人は放射線量が上がったため本庁の了承を得て退避した。政府の指示で翌13日に再び検査官4人が戻り、情報を集めたが、東電社員から資料を受け取り報告するだけだった。

 検証委は「退避判断が適切だったかは甚だ疑問。(現場でも)直接監視せず、事故対処の検討に加わって指導監督することもなかった」と批判した。

 関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の再稼働で、重要になるのは現地の規制体制や保安検査官の能力だ。県は再三、原子力規制委員会に現地の人員体制強化を求めている。

 現在、県内の原発サイトごとに4カ所の規制事務所があり、職員は計25人。高浜は6人が常駐し、うち5人が保安検査官だ。検査官は平時、年4回の保安検査などで事業者の保守管理をチェック。事故時は原発内の緊急時対策所に詰め、状況を報告したり、現場を監督したりする。

 検査官は規制委発足後も大半が旧保安院から引き継がれ、高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)に関し保守管理の不備を指摘するなど、平時の活動に厳しく臨む姿勢が見える。一方、事故が発生した際の対応はどうか。

 「旧保安院時代は(重大事故時に)現場がどのタイミングでどう動くかがはっきりしない部分もあったが、規制委になって指揮命令が明確になった」。敦賀市に駐在する規制庁の小山田巧・地域原子力規制総括調整官はこう強調するが、事故時は検査官の判断力や動き方も重要になる。県原子力安全専門委員会は昨年12月の報告書で、現場の初動対応能力を向上させる訓練の充実を規制委に求めた。

 検査官はメーカーや検査会社出身など中途採用者も多く、原子炉の専門知識や事故対応の経験がある人ばかりではない。規制委は現場実務の研修など人材育成を進めているが、まだ途上だ。

 旧保安院の初代院長を務めた電力土木技術協会の佐々木宜彦会長は「保安院で検査官らの能力育成を掲げたが、組織として統一した仕組みができなかった」と反省する。その上で「規制委も同じ問題を抱えている」と指摘した。

 規制委は旧保安院の教訓を踏まえ「現場主義」(田中俊一委員長)を掲げるが、今も全国の原発22基の安全審査を抱え、書類審査中心の体制になっている実態は否めない。

 現地体制の理想として挙げられるのが、米原子力規制委員会(NRC)だ。現地事務所の人員割合は日本に比べて高く、原子力潜水艦に乗務していた海軍出身者など経験豊富な検査官も多い。

 佐々木氏は「現地体制を強化するには、経験を積んだ人材が必要。規制委は現地の役割をいま一度見直し、人材育成を計画的に進めるべきだ」と訴えた。


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