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避難の参考に関心増す放射線監視 原発の行方・第2章(8)

  • 2012年2月14日
  • 05:00
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屋上にドーム形の放射線検出器が設置されているモニタリングポスト。電光掲示板には周辺の放射線量が表示されている=2012年2月6日、福井県敦賀市浦底
屋上にドーム形の放射線検出器が設置されているモニタリングポスト。電光掲示板には周辺の放射線量が表示されている=2012年2月6日、福井県敦賀市浦底

 大小二つのドーム形の放射線検出器を屋上に載せた倉庫ほどの小さな建物が、福井県内には80カ所近くある。原発からの放射線や放射性物質の影響を24時間監視するモニタリングポスト(放射線監視装置)だ。壁面の電光掲示板には周辺の放射線量がリアルタイムで表示。原発周辺の住民にとって日常の風景の一部となっている。

 東京電力福島第1原発以降、住民の意識は強まった。同県敦賀市色浜区長の遊津幸作さん(59)は「日常生活の中で今まで以上に関心を持ってポストを見るようになった。周りの人たちも敏感になっている」と語る。

 県内の原発を監視するモニタリングポストは、高浜原発監視用の京都府内の2台を含め嶺南を中心に県、電力事業者、国が計81台を設置している。半分に当たる40台を設置している関西電力の担当者は「(昨年の)夏ぐらいまではポストの数値を見た住民から問い合わせが相次ぎ、関心の高まりを感じた」と振り返る。

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 モニタリングポストのデータは敦賀市にある県原子力環境監視センターが収集、分析している。前川素一所長は「県民の安全安心を守るための最前線基地という高い意識を持ち、業務に取り組んでいる」と語る。

 同センターは県衛生研究所の機能が独立する形で1995年に発足。全国で初めて県、事業者のポストのデータを一元的に管理するシステムを備え、ホームページなどを通じてリアルタイムで公開している。放射線の連続測定に加えて、原発周辺の試料のサンプリング調査も行っている。

 ポストの放射線検出器は敏感だ。雨、雪など自然現象で数値が上昇するし、病院で放射線を使った検査を受けた人がポスト近くを通るだけでも影響を受けるという。

 原発で事故、トラブルが起きた場合、放射性物質は基本的に排気筒、放水口から放出される。ポストで検出した放射線が原発の影響かどうか確認するため、同センターは各原発から得ている排気筒、放水口モニターのデータと組み合わせて総合的に判断する。「(1986年の)チェルノブイリの事故から福島の事故までの間、原発の影響による放射線の検出はなかった」と前川所長。

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 「設置当初は、安全安心を確認してもらう役割が大きかった」と話すのは、関電の中山芳昌環境モニタリングセンター所長。福島の事故を機にモニタリングポストに対する住民の視線が、防災と直結するような方向へ変化したと実感している。

 関電が設置する40台のポストは、原発周辺で異常を監視する「発電所ポスト」、住民の活動拠点に設けた「広域監視用ポスト」の2種類に分けられる。「PRポスト」とも呼ばれる広域監視用ポストは、地域に対する情報提供が主な役割だが、東日本大震災後は異常を感知する役割がより重視されているという。

 日本原電敦賀原発の足元に当たる敦賀市浦底区長の佐近洋一さん(59)は「ポストの数字が上がっているのを見れば、早めに避難するかもしれない。参考になると思う」と語る。元放射線医学総合研究所センター長の下道国・藤田保健衛生大客員教授も「異常の発生時、住民避難などの対策に役立つことがある」との見方だ。

 福島県では大震災により電源や通信回線がダウンし、モニタリングポストが役に立たなかった。下氏は「万が一、福島のようにポストが機能しなくなっても、放射線の範囲が推測できる」として、原発から20キロ、30キロ離れた地域にもポストを配置することが重要と指摘している。


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