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原発の安全議論いつまで もんじゅの行方・ナトリウム漏れから5年(中)

  • 2000年12月7日
  • 16:04
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 原子力利用長期計画(長計)策定委員で、高速増殖炉(FBR)サイクルを扱った第三分科会のメンバーも務めた吉岡斉・九州大教授は、策定作業を終えた二〇〇〇年十一月二十日、「これによってもんじゅ早期運転再開のゴーサインが発せられたと考えるのは早計」と念を押すようにコメントした。

 「長計策定会議は安全性については独自の立場から判断をせず、(原子力)規制行政当局に判断を全面委任したと解釈すべきだ」。安全論議はまさにこれから、その舞台は安全審査というわけだ。

 一方、栗田幸雄・福井県知事は今月五日、もんじゅの改造工事に必要な事前了解願の受理方針を決めた河瀬一治・敦賀市長との会談。「了解願を受けて安全性の論議に入りたい」と話し、県会審議に期待を寄せた。

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 ナトリウム漏れから丸二年後の一九九七年から、当時の動力炉・核燃料開発事業団(動燃)は、県内各地で県民対象のもんじゅ説明会を始めた。

 核燃料サイクル開発機構に組織替えした後も取り組みを引き継ぎ、昨年十一月までに計二十五回、参加二千百九十人の実績を積み上げている。敦賀市では戸別訪問も展開し、市内のほぼ全世帯に当たる二万三千三百五十戸を職員が訪ねた。

 この間、ナトリウム漏れの原因となった温度計を折れにくい形状に設計変更。監視機器の増強や、窒素ガス放出による燃焼防止対策など、何重もの防護対策を考案してきた。安全総点検には、一年半の時間をかけてもいる。

 その取り組みには、敦賀市の原子力安全対策課も「状況改善のために考えられることはすべてやり尽くしたのではないか」と評価している。

  ◆  ◆  ◆

 だが、高速増殖炉など建設に反対する敦賀市民の会の吉村清代表委員は「安全総点検をしたところで、また想定外は必ずある」と指摘する。

 その一つが、蒸気発生器(SG)細管の検査機器が実用化に至っていないとされる問題。内部告発で明らかにされただけに信頼性が高く、吉村さんは「検査機器も整っていない段階で、事前了解願を出そうというのは順序が違う」と批判する。

 吉岡教授も「今までの定期検査などの信頼性を失わせる。経過についての十分な検証が必要で、将来的にはこの問題の解決なくして運転再開はあり得ない」と警告している。

 さらに吉村さんは「事実を確かめようとしても、こちらが欲しい情報は出さない。核燃が選んだ情報だけ流すのでは、動燃時代と何ら変わっていない」と、その体質にも踏み込んで批判し、安全審査に入る以前に解決すべき問題が多いとの見方を示している。

  ◆  ◆  ◆

 「専門家ではないわれわれでは、本当に安全かどうかは判断できない。結局は安全審査にゆだねるしかない」。敦賀市の幹部はこう話す。

 一方、県議の中からも「知事は『ナトリウムを取り扱う特殊な炉である点を重視して、徹底した安全論議をお願いしたい』というが、議員レベルでそうした技術的な問題を深くまで検討できるだろうか」と、率直な声も漏れる。

 近く事前了解願が受理されると、改造工事に向けた安全審査が一年間をかけて行われる。つまり、安全論議のタイムリミットは来年末に予定される。県と敦賀市、議会、さらに反対派と、それぞれに安全論議に対する温度差がある今、その期間は決して長くはない。

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 一九九五年のナトリウム漏れ事故から八日で五年となる高速増殖炉(FBR)原型炉「もんじゅ」。原子力利用長期計画(長計)では早期再開が盛り込まれ、福井県や敦賀市、核燃料サイクル開発機構も再開に向けた手続きへ動きだそうとしている。ただ、国内外でFBRへ逆風は強く、安全性、経済性への懸念も消えない。果たしてもんじゅはどこへ行くのか。


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