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電源3法交付金が住環境向上寄与 原発の行方・第2章(5)

  • 2012年2月9日
  • 05:00
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福井県内の社会資本整備率
福井県内の社会資本整備率

 原発の立地・周辺自治体に配分される電源3法交付金は、さまざまな形で暮らしの底上げに使われてきた。

 例えば、福井県嶺南の自治体は子どもの医療費助成を先行して実施。2010年10月の県の制度拡充まで多くの自治体が「就学前児童の無料」にとどまっていたのに対し、嶺南の全4町はいち早く中学3年まで無料としていた。

 「子どもは病院だけでなく歯科医などに通う機会も多い。医療費無料が一番助かっている」と話すのは小学生と保育園児を持つおおい町の主婦(36)。町内での暮らしやすさを実感している。

 財源として、原発がない若狭町を除いて電源3法交付金が活用されている。おおい町は10年度、負担額約1420万円のうち500万円を同交付金で賄った。ただ「子どもの医療費に原発の交付金が使われているとは知らなかった」と語る町民もいる。

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 多額の同交付金は社会資本整備にも投入され、数字が“効果”を物語っている。

 1972年に37・8%だった嶺南の道路舗装率は09年には88・2%に上昇。嶺北を上回る伸び率だ。09年の上水道普及率は98・3%、下水道は86・6%と嶺南の方が嶺北より高い。6歳未満児1千人当たりの保育所整備数は80年の4・56から09年には6・82にアップした。

 立派な文化施設や教育施設、グラウンド、道の駅なども整備された。時岡忍おおい町長は「昔はスポーツ施設や温泉など何一つなかった。原発を誘致しなければ、細々と町運営していただろう」と語り、同交付金が住環境の向上につながったと力説する。

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 電源3法交付金の財源は、電力事業者から徴収する電源開発促進税。1千キロワット時当たり375円が電力料金に上乗せされ、消費者が支払っている。制度が創設された74年度から09年度までに県と市町に交付されたのは計約3245億円。10年度の交付額は、県が約91億円、市町が約126億円の見込みだ。

 ただ、立地市町の財政を潤す一方、03年度の制度改正までハード事業に使い道が限定されていたため“ハコモノ行政”を助長する結果となった。

 「目的税として導入したのが問題だった。特定官庁の占有財源になった上、新規立地が進まず金が余り、新たな交付金を次々つくる悪循環に陥った」とみるのは福島大の清水修二副学長(財政学)。実際、福井県が自治体向けの手引書を作るほど制度は複雑だ。

 また、豪華な施設は維持管理経費がかさんで苦労しているのも事実だ。

 しかし、ある立地市町の首長はこう反論する。「電源3法交付金は“悪いカネ”で、他の補助金は“良いカネ”みたいに色分けされるが、国庫依存という点では変わらない。他の自治体も補助金や交付金、交付税措置される有利な起債を使っている」

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 近年は同交付金による政策誘導という色彩も強まった。例えば06年度に新設された「核燃料サイクル交付金」と「原子力発電施設立地地域共生交付金」は、それぞれプルサーマル計画への同意と30年超運転が交付条件となる。

 清水副学長は「事後的な交付ではなく、お金を出すから受けないかという駆け引きや取引の手段になる」と指摘。「期限に間に合わなければ出しませんよと露骨に利益誘導した」と国の手法を痛烈に批判する。制度を改めて「環境税」として使途を拡大し、立地地域が脱原発の道を歩む施策にも活用できるようにすればいいと提唱する。

 原発の先行きは交付金の在り方も大きく左右する。2人の未就学児を持つおおい町の女性(26)は、考え込まざるを得ないという。「原発がなくなって今のサービスが受けられなくなるのはとても困る。でも、子どものことを考えると万が一の原発事故は怖い。複雑な心境」


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