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先見えぬ高速増殖炉 もんじゅの行方・ナトリウム漏れから5年(上)

  • 2000年12月6日
  • 15:25
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 一九九五年のナトリウム漏れ事故から八日で五年となる高速増殖炉(FBR)原型炉「もんじゅ」。原子力利用長期計画(長計)では早期再開が盛り込まれ、福井県や敦賀市、核燃料サイクル開発機構も再開に向けた手続きへ動きだそうとしている。ただ、国内外でFBRへ逆風は強く、安全性、経済性への懸念も消えない。果たしてもんじゅはどこへ行くのか。

  ×  ×  ×

 「もんじゅはFBRサイクル技術の研究開発の場の中核」「研究開発段階にある原子炉であることを認識し安全確保に万全を期する」

 十一月二十六日午後、県庁。日曜日を返上して福井県入りした大島理森科学技術庁長官は抑えた声で栗田知事に説明した。新長計では、多様な選択肢、計画の柔軟性が目立つ中、使用済み核燃料を再処理して再利用する核燃料サイクルは原子力政策の根幹として堅持。もんじゅをきっちり位置付けたとの思いがあった。

 九七年の東海再処理工場の火災・爆発事故。昨年秋に茨城県東海村で起きたJCO臨界事故。信頼を揺るがす大事故は、いずれも核燃料サイクルの輪の中で発生した。青森県六ケ所村の再処理工場本格操業は五年も先。技術的な困難さ、経済性から欧米諸国の多くはFBR開発から撤退している。「再処理路線は既に破たんしている」(吉村清・高速増殖炉など建設に反対する敦賀市民の会代表委員)といわれるゆえんだ。

  ◆  ◆  ◆

 こうした逆風にもかかわらず新長計でも、核燃料サイクルは揺るがなかった。科技庁にとって、もんじゅを動かすのは至上命題。核燃機構にとっても存立意義がかかっている。もんじゅ再開論議の条件として本県が長計での明確な位置付けを求めた以上、最大限の配慮をするのは当然の成り行きだった。

 一般からの意見募集も締め切った長計策定作業の最終段階の十月二十三日、栗田知事が科技庁に申し入れをした。これを受けて、もんじゅ関連部分は注意深く書き直され、運転再開に当たってとるべき諸手続き、留意点まで盛り込まれた。反対派を中心に寄せられた多数の意見の反映度と比べて、その対応の違いは際立つ。まさに「もんじゅ再開のための長計」といっていい。

 それまで評価を避けてきた栗田知事も、十二月県会の冒頭で「国の考えが明確にされた」と合格点を与えた。

 しかし、明確に位置付けられたといいながら、旧長計で二〇三〇年ごろとされた実用化の時期は新長計では消えた。「原型炉に次ぐ実証炉以後が白紙。後続の計画を持たない原型炉はあり得ないはず」と原発反対県民会議の小木曽美和子事務局長は、意見を聞く会で厳しく追及した。見通しの不透明さには推進派にさえ不満の声が強い。

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 「もんじゅもふげんの二の舞いにならないか」。旧長計では新型転換炉の推進がうたわれながら、経済性の点から撤退を余儀なくされた苦い経験がある。ましてや今回の長計は、国と民間の役割分担、経済性をより重視して市場原理にゆだねる立場を明らかにした。国策で進める高速増殖炉でさえ随時、評価を加えて「研究開発投資の効率性の観点を重視する」とたががはめられた。

 こうした懸念に対して、「何よりまず動かすのが大事。運転することが、ほかの技術との比較、評価のベースになる」と電力関係者は口をそろえる。

 当面は、発電プラントとしての信頼性の実証と、ナトリウム技術の確立を目指す。事前了解願を出し、安全審査に約一年、改造工事に二年。四年目には試運転に入り、二〇〇五年には本格運転…。核燃機構はスケジュールを描く。

 ただ、将来のエネルギー需給は全く不透明だ。電力の自由化で競争も厳しい。十数年運転した後のもんじゅの長期的役割も打ち出されているが、具体像は見えてこない。もんじゅは余剰プルトニウムを燃やす”廃棄物対策炉”となると予言する県会議員もいる。小木曽さんは「用途が変われば安全性も変わる」と批判。経済性でも安全性でも不透明さはぬぐいきれない。

 【もんじゅ事故】 一九九五年十二月八日夜、出力四〇%で試運転中の高速増殖炉原型炉「もんじゅ」の二次冷却系ナトリウム配管の温度検出器が折れ、配管外に漏れ出したナトリウムが空気と反応して火災を起こした。高速増殖炉におけるナトリウム管理の難しさが浮き彫りになっただけでなく、事故直後にはビデオ隠しも発覚。情報公開をめぐって旧動燃の閉鎖体質に非難が集中した。動燃は九八年に改組して核燃料サイクル開発機構となり、茨城県東海村に本社、敦賀市に本部を置いた。


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