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停電避け北陸電力管内に工場移転 原発の行方・第2章(3)

  • 2012年2月7日
  • 05:00
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東京電力管内の停電リスクを回避するため工場を移転したアクロス=福井県鯖江市舟津町1丁目
東京電力管内の停電リスクを回避するため工場を移転したアクロス=福井県鯖江市舟津町1丁目

「電力の安定供給が進出の決め手」。繊維強化炭素複合材の製造販売を手掛けるアクロス(本社埼玉県蕨市)は2011年12月、福井県鯖江市へ工場を移転すると発表した。福井県庁で記者会見した松野年宏副社長は、生産活動での「停電リスク」を軽減する狙いだと強調した。

同社は炭素繊維系の耐熱性素材を使い、太陽光パネル生産設備の部品などを製造する。埼玉県内に5工場を持つが、東京電力福島第1原発事故に伴う計画停電は工場の稼働を直撃。2千度以上の高温の電気炉を使用するため、計画停電中はほとんど操業できなかった。

昨年3月末、東京電力の管外へ工場を移すと決め、検討を始めた。

原発依存度が5割に達する関西電力、東海地震の想定震源域にある浜岡原発(静岡県)を持つ中部電力、原発が全停止し需給がタイトな九州電力…。いずれの管内にもリスクがある。「消去法で考えたら、残ったのは北陸電力管内だけだった」と松野副社長。北電は2010年度の原発依存度が28%と比較的低く、安定供給が見込めると判断した。

販売先の西日本に近く、最適な空き工場があったことから最終的に鯖江を選んだ。再生可能エネルギーに注目が集まる中、太陽光パネルの生産設備は引き合いが強まっており、松野副社長は「電力不足により製造が制約を受ける事態はどうしても避けなければならなかった」と語る。

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東日本大震災は電力供給不安やサプライチェーン(部品の調達・供給網)のもろさという課題を企業に突きつけた。リスク回避に動く企業を誘致しようと攻勢を強める西日本の自治体も多い。

福井県は原発立地に伴う電気料金の割引制度などをアピール。県企業立地推進室によると、昨年の工場の新増設は26件で、前年の21件を上回る。同室は「原発立地による風評被害を心配したが影響なかった」とする。同県敦賀市企業誘致室も「誘致交渉を進める中で原発に対する懸念は特に耳にしない」と話す。

ただ、多様なリスクに対して各企業は敏感だ。

昨夏、節電により輪番操業を強いられた福井村田製作所(同県越前市)は「万一の工場被災に備え、在庫を積み増した」という。

橘川武郎一橋大大学院教授(エネルギー産業論)は「停電があるかもしれないというリスクが存在するだけで『危なくて日本では作れない』と工場は海外に移り、産業空洞化が人知れず進行している」と指摘する。

一方、浜岡原発から約11キロの場所に工場を持つ自動車メーカーのスズキ(本社静岡県浜松市)のように、万一原発事故があった場合のリスクを考えて工場移転を検討する例もある。

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千葉県内で食品スーパーを展開する木田屋商店(本社千葉県浦安市)は1月、福井県小浜市内に野菜工場を建設する計画を発表した。一般的な丸レタス(結球レタス)を天候に左右されず安定的に栽培する世界初の施設で、来年4月稼働を目指す。

同社は福島産コシヒカリの販売も手掛けるが、昨年初めにオーストラリアへ輸出を始めた直後、福島の事故が起きて風評被害を受けた。食品を扱うという性質上、今回の野菜工場の立地場所を選ぶ際にも「放射能リスク」は大きな問題として考えたという。

それでも「(原発の)マイナス部分だけとらえていては前に進まない」と決断。植物工場では生産コストの3分の1を占める電気料の割引制度も決め手の一つになった。木田久喜財務担当は「新産業創出で地方に活力をもたらせれば」と力を込める。


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