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もんじゅをめぐり司法判断ぶれる 原発の行方・第1章(10)

  • 2011年11月30日
  • 05:00
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もんじゅ行政訴訟の上告審判決言い渡し後、「不当判決」と書かれた紙を掲げる原発反対福井県民会議の小木曽美和子事務局長(左から2人目)=2005年5月30日、最高裁
もんじゅ行政訴訟の上告審判決言い渡し後、「不当判決」と書かれた紙を掲げる原発反対福井県民会議の小木曽美和子事務局長(左から2人目)=2005年5月30日、最高裁

 1985年9月26日、福井県敦賀市白木で建設準備が進んでいた高速増殖炉「もんじゅ」をめぐり、原発反対県民会議を母体とする周辺住民40人が、国の設置許可処分の無効確認を求める行政訴訟と、動力炉・核燃料開発事業団(現日本原子力研究開発機構)に建設・運転の差し止めを求める民事訴訟を福井地裁に起こした。20年に及ぶ法廷論争の始まりだった。

 「訴訟を起こせば審理が長引くし、お金もかかる。原発については素人の裁判官が、専門的な内容を正しく理解できるとも思えない。それでも、もんじゅだけはやらざるを得なかった」。原告に名を連ねた同会議の小木曽美和子事務局長(75)は振り返る。

 実用化された商業炉と異なり、もんじゅは研究段階の原型炉。核兵器になり、テロの対象にもなり得るプルトニウムを燃料とするだけに、重要な情報は公開されていなかった。「もんじゅを止める手がかりになる情報を少しでも引き出すには、訴訟を起こすしかなかった。最後の道だった」

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 裁判所の判断は大きくぶれた。

 提訴から15年後の2000年、一審の福井地裁は「安全審査に不合理な点はなく、判断過程に見逃しがたい過誤、欠落は認められない。原告らの生命、身体が侵害される具体的危険はなかった」と行政、民事の訴えをともに棄却した。

 控訴審で名古屋高裁金沢支部は行政訴訟の審理を先行させて03年、「ナトリウム漏れ事故対策に関する安全審査に重大な誤りがある」として一審判決を取り消し、設置許可処分を無効とする逆転判決を言い渡した。国内原発の設置許可の無効確認や取り消し、運転差し止めを求めた訴訟で、住民側の完全勝訴は初めてだった。住民側は民事訴訟を取り下げた。

 判決に憲法・判例違反や法解釈の誤りがないかを中心に審理する「法律審」の上告審で最高裁は異例の事実審理に踏み込み05年、「安全審査の判断過程に見過ごせない誤りや欠落はなく、違法とはいえない」と二審判決を破棄。設置許可処分を有効とする原告敗訴の逆転判決を下し、住民側の再審請求も退けた。

 訴訟をめぐり、原告被告双方から相談を受けていた京都大大学院の高木光教授(行政法)は「住民側が勝てないのはやむを得なかった」と語る。「原子炉等規制法は『十分に安全なら原子炉を設置してよい』という行政法で、行政訴訟は設置を許可した行政判断に不合理や違法がないかのチェックにとどまる。法律は住民側が求める絶対安全までは求めていない」と指摘する。

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 原発反対県民会議が主体となって起こした訴訟はもんじゅだけ。1991年に県内や近畿地方の住民が大阪地裁に起こした関西電力高浜原発2号機の運転差し止め請求訴訟は、近畿地方での原発反対運動の高まりに連帯した形だった。

 小木曽事務局長は「もんじゅ訴訟は情報公開の点で大きな成果があった」とする。一方で「司法の判断には期待していない。下級審の裁判官は上級審の顔色をうかがい、内閣から任命される最高裁の裁判官は、行政の顔色をうかがって判決を出すから」と持論を語る。

 これに対し、北陸電力志賀原発2号機の運転差し止め請求訴訟の一審金沢地裁で裁判長を務め、06年に差し止めを命じる判決を下した井戸謙一弁護士(57)=滋賀県彦根市=は「国を負けさせた判決はいくらでもあるし、それによる人事上の不利益もない。勝たせるべきを勝たせ、負けさせるべきを負けさせる判断を淡々とするのが裁判官の役割だ」と反論する。

 自身の判決も「原発を運転するなら十分に安全対策をして、と言っただけ。特異な判断とは思っていない」と話す。

 滋賀県民らは今年8月と11月、定期検査で停止中の県内原発計9基の再稼働差し止めを求める仮処分を大津地裁に申し立て、井戸弁護士は弁護団に加わった。この動きに、原発反対福井県民会議は関わっていない。


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