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エネルギー拠点化計画、曲がり角 瀬戸際もんじゅ(5)

  • 2015年11月21日
  • 10:06
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福井県立病院陽子線がん治療センターの照射室。来春に積層原体照射システムとCT自動位置決めシステムが導入される=福井市の同センター
福井県立病院陽子線がん治療センターの照射室。来春に積層原体照射システムとCT自動位置決めシステムが導入される=福井市の同センター

 原発を単なる「発電工場」にとどめず、原子力を中心としたエネルギーの研究開発拠点の地域とする―。この理念を掲げ毎年、福井県内の産学官が連携して各事業を進めているのが、県のエネルギー研究開発拠点化計画。西川一誠知事ら関係機関のトップが集まる推進会議はことし発足から丸10年を迎える。会議は23日に開かれる予定だ。

 2005年3月の計画策定当時、拠点化の中核に据えられたのが、高速増殖炉もんじゅ(同県敦賀市)だった。原発15基が集中立地しながら地場産業は育たず、自立する形での地域振興につながっていない―との反省から、もんじゅから派生する先端技術の研究や産業の集積を目指した。

 「もんじゅが本格的に稼働すれば世界中から研究者が集まり国際研究の中心になると、期待が大きかった」。県の県民生活部長、副知事を務めた若狭湾エネルギー研究センターの旭信昭理事長は振り返る。

   ■  ■  ■

 核となるもんじゅは長期停止していたが、拠点化計画はこの10年、さまざまな分野に事業を展開してきた。福井県立病院の陽子線がん治療センター、福井大附属国際原子力工学研究所(敦賀市)などが次々と整備され、省エネ型の大規模園芸施設といった嶺南の産業振興も着々と進む。

 人材育成でも若狭湾エネルギー研究センターが中心となり、原発の保守業務に参入する県内の下請け会社などを対象に技能向上研修を実施。これまでに約1万人が受講した。アジアを中心に海外研修生も受け入れている。

 「ジグソーパズルにたとえれば、歯抜けもあるが絵らしくはなっている」と話すのは、県の総務部企画幹時代に拠点化計画づくりを担った来馬克美福井工大教授。ただ「結局もんじゅって何なの、と埋めようのないピースはある」と現状を言い表した。

 福島の事故後、原子力政策は揺れ動き、拠点化計画は方向性を失いつつある。運転40年を超えた県内原発3基の廃炉が決まり、もんじゅの行方も不透明さが増した。来馬教授は「地域が今後、原子力とどう関わっていくのか、計画のビジョンを見直す時期に来ている」と指摘した。

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 県は1995年のナトリウム漏れ事故以降、もんじゅや核燃料サイクルの位置付けの明確化を一貫して国に求めてきた。栗田前知事は新潟、福島と合同で「3県知事提言」を行い、国民的な合意形成などを要請した。

 今回、原子力規制委員会が勧告方針を決めた後も、西川知事はすぐさま文部科学相、経済産業相と面会。「もんじゅの研究開発の成果が十分上げられるよう、政府の責任体制を整備するべきだ」と運営立て直しを要求した。

 もんじゅは度々、地域振興策で国の協力を引き出す“政治カード”にも使われてきた経緯がある。拠点化計画への国の関与は、もんじゅの改造工事入りを西川知事が判断する条件の一つだった。県や県議会が北陸新幹線の県内延伸との“セット論”を掲げたこともあった。

 野田富久県議(民主・みらい)は「県はもんじゅの存在意義を求め、さまざまな手を打ってきたが、実態として何もなし得なかった」とし、県に総括を求める。一方、自民党県政会のベテラン県議は「結局、もんじゅは新幹線の交渉カードにはならなかったが、県は拠点化計画などで利用してきた。今は国の対応を見極めるしかない」とつぶやいた。=おわり=

 ▽3県知事提言

 1995年の高速増殖炉もんじゅのナトリウム漏れ事故で不信感が広がった原子力政策に対し、福井、福島、新潟の原発立地県の3県知事が96年1月、各界各層の幅広い議論を通じた国民的な合意形成を図るよう、橋本龍太郎首相に提言した。もんじゅの事故の原因究明や国民理解が得られるまで、軽水炉のプルサーマル計画や原発の新増設は検討しないと迫った。提言後、国は「原子力政策円卓会議」を設置。原子力政策への住民意見の反映に努めた。


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