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巨額交付金“フル稼働”も厳しい視線 瀬戸際もんじゅ 運営主体変更勧告(4)

  • 2015年11月20日
  • 10:49
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もんじゅを見つめる橋本さん。「勧告の影響は大きい」と懸念する=福井県敦賀市白木1丁目
もんじゅを見つめる橋本さん。「勧告の影響は大きい」と懸念する=福井県敦賀市白木1丁目

 福井県敦賀市白木区の坂本勉区長(60)は、集落の長男としては初めて、全日制高校に進学した。中学卒業後は大敷き網漁師になるのが当たり前だった時代。1970年に市が動力炉・核燃料開発事業団(現日本原子力研究開発機構)の高速増殖炉建設の調査を了承、2年後に科学技術庁(当時)が、もんじゅを白木に建設する計画を発表し、集落が大きく揺れた時期だった。

 「高校3年間でいろんなことが急激に変わった。最初は漁師になるつもりで水産高を選んだんだけど」。結局、動燃に就職しこの夏まで勤め上げた。最後は保守点検を担うプラント保全部。「運営主体の資質がない」と指弾された原子力規制委員会の勧告に戸惑う。「もんじゅがなければ、集落は今なかった。区長としても簡単にそうですか、とは言えない」

 集落で区長を15回務めた元市議橋本昭三さん(87)は、78年刊行の著書「白木の里」に、誘致の思いを詳しくつづっている。当時、同じ敦賀半島の立石区や美浜町丹生区で原発が建設され道路が整備されたのに、白木は林道のまま。「高速増殖炉の建設を見逃しては、悲願の県道改修は近い将来あり得ない」。陸の孤島として取り残される強い危機感があった。40年超を経て再び集落を揺るがす勧告に橋本さんは「影響は大きい」と懸念を強める。

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 もんじゅから車で約10分。廃校となった美浜町丹生小校舎で、来年9月の完成に向け町エネルギー環境教育体験施設の整備が進んでいる。実験教室や120人収容のホールなど観光、教育の拠点施設として期待されている。建設費と運営費計15億円は全額、もんじゅの研究開発推進を図る交付金。敦賀市も08、09年度にこの交付金20億円を受け、JR敦賀駅前に福井大附属国際原子力工学研究所の建物を建設した。

 もんじゅは、運転実績はわずかだが、交付金は“フル稼働”だ。運転開始後、10年間が交付期間だった別の交付金でも、敦賀市は約24億円を使い豪華客船を模した温泉施設「リラ・ポート」を建設。この交付金は越前町など嶺北市町も含め県全体では約53億円が交付され、各地で温浴施設などが整備された。

 敦賀市には、初送電翌年から固定資産税も入っている。初年度の1996年度は機械設備への課税分だけで70億円超に上った。同市にとっては税収面でも大きな存在だ。

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 ただ近年、恩恵を受けてきた地元でさえ、視線は厳しい。今年4月の敦賀市長選を前にした本紙の世論調査では、市民の3人に1人が「もんじゅは廃炉にすべき」と答えている。

 勧告が出された翌週、リラ・ポートでは利用者から「絶えず問題を起こしている印象で愛想が尽きた」と突き放す声も聞かれた。毎週のように訪れている70代夫婦は「これまでの地元貢献とは別の話。将来性を感じず別の運営主体が見つからないのなら廃炉もしょうがない」と言う。

 「日本原電敦賀原発の新増設には賛成でも、もんじゅはだめ、という市民は増えている」。反原発の立場で活動している今大地晴美市議は「多額の税金を投じながらほとんど実績を上げていない現実を重く受け止めるべきだ」と指摘した。


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