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揺れる核燃サイクル、「増殖」後退 瀬戸際もんじゅ(3)

  • 2015年11月19日
  • 07:23
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 新たな運営主体の特定が困難ならば、高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)の在り方を抜本的に見直すこと―。原子力規制委員会の勧告は、政府にもんじゅの存廃も含めた判断を迫っている。

 「もんじゅが廃炉となれば、日本の核燃料サイクルをやめるということ」。高速炉に詳しい福井大附属国際原子力工学研究所の竹田敏一特任教授は懸念する。

 原発の使用済み燃料からプルトニウムなどを取り出し、再処理して再び燃料に使う核燃料サイクルは、国の原子力政策の根幹。中でも、発電しながら消費した以上の燃料を生むもんじゅは、資源小国の日本にとって、かつては「夢の原子炉」と期待された。

 ただ、1994年の初臨界後、ナトリウム漏れ事故などで21年間ほとんど運転実績がない。1兆円を超す国費が投じられてきたが、高速増殖炉の実用化のめどは立たないままだ。

 それでも、もんじゅが核燃料サイクルの中核として位置付けられてきたのは「エネルギー安全保障や自給率の観点で、他に案がない」(竹田特任教授)と、国が判断してきたからにほかならない。

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 高速増殖炉の実用化目標は、先送りの歴史だ。目標時期が初めて具体的に明記されたのは、67年の原子力研究開発利用長期計画(長計)で「1980年代後半」。改定の度に目標を延期し、2005年の原子力政策大綱では「2050年ごろ」。もんじゅの長期停止もあり、当初から約70年間も先延ばしした。

 福島事故後、14年に閣議決定されたエネルギー基本計画では「増殖」の文言と目標時期すら消えた。代わりに、もんじゅは高レベル放射性廃棄物を減らす研究という役割が強調された。

 「もんじゅが動けば、廃棄物問題の解決に貢献するかのように言うのは『誇大広告』ではないか」。規制委の更田豊志委員長代理は今月2日の日本原子力研究開発機構の幹部への意見聴取で、こう切り込んだ。高速炉を使って廃棄物を減らす研究開発は理論段階にすぎず、単なる延命だと暗に批判した形だ。

 九州大大学院の吉岡斉(ひとし)教授も「技術的な信頼性はなく、実現には高速炉が何十基も必要で、実際は不可能な話」と指摘する。

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 高速増殖炉のサイクルが実現するまでの“つなぎ”として位置付けられてきたのは、一般の軽水炉での「プルサーマル発電」。増殖とは違い、各原発から出るプルトニウムを再処理して消費していくというのが主眼だ。

 プルサーマルは15年度までに全国の16〜18基で導入する目標だったが、福島事故前の時点で実施は関西電力高浜3号機など4基のみ。サイクルの中核となる青森県六ケ所村の再処理工場は竣工(しゅんこう)の延期を繰り返し、先行きは見通せない。

 一方で、国内外で再処理した日本のプルトニウム保有量は約48トンにまで増えた。サイクルが動かなければ、核不拡散の観点から国際社会の批判も免れない。

 県原子力安全対策課長を務めた若狭湾エネルギー研究センターの岩永幹夫常務理事は「核燃料サイクル全体が動いていない中、サイクルの必要性の判断は将来の原子力をどうしていくかだ。原発の割合を減らしていくのなら高速増殖炉の必要性は見えにくい」と指摘。国がエネルギー政策をどう選択するかの問題だと強調した。


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