福井と沖縄、原発と基地のニュースサイト

多様、分散型の電力システム重要 原発の行方・プロローグ(6)

  • 2011年10月13日
  • 05:00
  • Twitterでシェア0
  • Facebookでシェア0
  • Google+でシェア
  • 0
電力の安定供給と再生可能エネルギーの普及には電力市場政策の見直しが求められると語るIEA前事務局長の田中伸男氏=2011年9月27日、福井市内のホテル
電力の安定供給と再生可能エネルギーの普及には電力市場政策の見直しが求められると語るIEA前事務局長の田中伸男氏=2011年9月27日、福井市内のホテル

 ドイツは2022年まで、スイスは34年までの全原発停止を決定。イタリアは国民投票により原発再開反対の意思を示すなど欧州を中心に「脱原発」の動きが進む。しかし、2011年8月末まで国際エネルギー機関(IEA)の事務局長を務めた田中伸男氏は、福島第1原発事故の後も世界的に大きな潮流の変化は起きていないとみる。

 「ドイツは先延ばしにしていた全原発廃止の期限を元に戻した状態。エネルギー源をロシアに依存する東欧諸国は安全保障の観点から、中国、韓国、ベトナムなど経済成長を目指す新興国は大量で安く安定した電源を得るため、原子力に積極的だ」。結果として「意外と世界の国々は冷めている」というのだ。

 加えて「ドイツは確かに原発を止めるというが、電力系統は他国とつながっていて、いざとなれば隣国から買える」と指摘。日本とは事情が異なるという。

 「欧州は電力を安定供給するエネルギー安全保障上と、再生可能エネルギーをうまく使うという二つの意味で、国境を越えて電力の市場を統合している」と田中氏。国内の都合だけ、しかも原発の安全性という論点だけでエネルギー政策を見直すのはバランスを欠いており、日本も「電力市場をどうデザインするか」という観点から、政策を見直すべきだと訴える。

  ■  ■  ■

 普及が期待される再生可能エネルギーを1次エネルギー供給量に占める割合でみると、10年に日本はIEA加盟28カ国で3番目に低い。現段階では一定の補助がなければ競争力がない状態だ。

 ただ、日本は再生可能エネルギーによる発電で高い技術を持っており、利用率が伸びない原因は、地域を結ぶ系統線の連携の悪さにあると田中氏はみる。天候などによる変動幅が大きく小規模で分散型の再生可能エネルギーをうまく活用するにはスマートグリッドを広げ、各地域で発電、供給して余剰分を融通し合うシステムの構築が欠かせないと強調する。

 また、再生エネルギー特別措置法に基づき今後導入される固定価格買い取り制度に関しても「初期投資を呼び込むために、透明性が高く一定期間の予測が可能な制度をつくるべきだ。ニーズや発展段階に合わせた制度、価格の組み合わせが必要になる」と語る。

  ■  ■  ■

 大きな電力市場を共有する欧州とは対照的に、国内の電力事業は10社ごとに分かれ、各地域で発電から送電、小売りまでを一貫して担う仕組み。ただ、連携する系統線は細い上、西日本と東日本では周波数が異なり、一部しか電力融通できない難点がある。

 福島の事故は、大規模な電源を集中立地させて供給することのリスクもあぶり出した。IEAはこれまで日本に対し、万一の際の電力供給に問題があると指摘してきたという。

 地域を越えた送電網を強化、拡充すれば市場そのものが大きくなり、電力の安定供給とともに再生可能エネルギーの活用も進むというのが田中氏の見方だ。国内だけでなく、電力事情が似通っていて距離が近い韓国との連携も選択肢になりうるとする。

 「1カ所に巨大投資を集中させるような従来とは違ったモデルが求められる」と田中氏。ソース(電源)、ルート(系統線)を含め多様で分散型の電力供給システムが重要というのだ。

 加えて「安いエネルギーがふんだんにあるという時代はもうこないんじゃないかと考えて施策を打つ必要がある」とも提起。省エネ型の技術やライフスタイルなど需要側の努力が求められる一方で、日本の高い技術は世界での競争力の源になるとした。


基地 from 沖縄 カテゴリーニュース

原発 from 福井 カテゴリーニュース

原発 from 福井 カテゴリーニュース

基地 from 沖縄 カテゴリーニュース