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【論説】伊方原発3号機が再稼働へ 国の責任、避難対策不十分

  • 2015年10月27日
  • 07:21
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 愛媛県の中村時弘知事が同意したことで、四国電力伊方原発3号機が年明けにも再稼働する見込みとなった。東京電力福島第1原発事故から4年半。九州電力川内原発1、2号機に続き、全国的な再稼働の流れが加速していくか注目される。だが脱原発の世論はもはや定着し、福島原発事故の重い教訓である住民避難についてはまだ多くの課題を残したままだ。住民の安全を置き去りにした原子力行政では国民の理解を得るのは困難である。

 中村知事が最終判断するに当たって重視したのは「国の責任」だ。電力側に同意を伝えた後の会見で、万一事故が起きた場合の国の方針や安全対策に対する電力側の姿勢を具体的に引き出したことを強調。「こうした要求をしたのは愛媛県だけだ」と胸を張った。

 再稼働の先駆けとなった川内原発に対する地元鹿児島県や議会などの甘い対応から見れば、慎重に判断材料を積み上げたのは間違いない。知事は今月6日に開かれた国の原子力防災会議に呼ばれ、その席で安倍晋三首相は「再稼働を推進する責任は政府にある」「事故が起きた場合、国民を守るのは政府の重大な責務」と言明した。

 反原発、脱原発が強い中で、安倍首相が前面に出ることから逃げていたのは明らか。会議の中とはいえ、言質を引き出したのは大きな「成果」だ。ただ今後のモデルケースになるのかどうか。しかも首相はこれまで「国の責任」に何度も言及している。「責任」を強調するなら、住民の安全を自治体任せにしてきたことを反省し、事故時の住民避難に「全責任を持つ」と言明すべきであろう。

 今回の伊方原発に関して「地元同意」は基本的に愛媛県と伊方町だが、万一の事故では被害が広域化することは福島事故でも明白だ。伊方原発は瀬戸内海に面しており、原発より半島の先端部に住む住民の避難対策には課題を残す。また一部が原発から30キロ圏に含まれる山口県上関町の離島町民などからも「避難計画すら示されていない」といった反発の声がある。

 今後再稼働が増えれば、原発リスクに対する不安や懸念は格段に増幅されるだろう。政府、原子力規制委員会、電力側はさらに実効性ある対策を迫られる。

 次の関心は関西電力高浜原発3、4号機に移る。伊方原発より約5カ月早く新規制基準に基づく審査に事実上合格したが、運転を認めないとする福井地裁の仮処分決定が覆らない限り、関電も再稼働できない。野瀬豊高浜町長はそれと無関係に年内に判断の意向だ。

 本県は原子力先進県として他県と比べ厳格に対応してきた。知事は最終判断する前提として5条件出し、廃炉を含めた地元対策や原発の重要性、必要性に対する国民理解は「十分に進んでいるとはいえない」と、まだ慎重な構えだ。

 最終判断の際には安倍首相が直接知事と会い、原子力政策と国民理解に向け、責任ある言葉を発信していくのが当然ではないか。


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