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原発止まっても夏を乗り切り疑心 原発の行方・プロローグ(3)

  • 2011年10月6日
  • 05:00
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関電の節電要請を受け、エスカレーターの一部停止などが実施された大阪市営地下鉄=2011年9月22日、同市中央区の本町駅
関電の節電要請を受け、エスカレーターの一部停止などが実施された大阪市営地下鉄=2011年9月22日、同市中央区の本町駅

 関西電力による15%の節電要請期間が最終日を迎えた9月22日、大阪市の最高気温は24・2度。7月1日からの84日間、供給能力に対する使用率が危険域の95%を超えた日は結局ゼロだった。  福井県にある関電の原発11基のうち7基が止まったまま「節電の夏」を無事乗り切った。需要予測は大きく外れた。

 街で話を聞いた。

 「関電の節電要請は大げさ。原発が絶対必要だというアピールに使っている。本当は原発を動かさなくても大丈夫なんじゃないのか」。大阪市中央区のオフィス街にいた派遣社員の衣川浩司さん(40)=大阪府豊中市=は怪訝(けげん)そうに話した。

 「どこまでホンマに節電せなあかんか、分からん」とは大阪市都島区の無職辻武寿さん(62)。自宅のエアコンは設定温度が28度。冷蔵庫の開閉にも注意を払った。東京電力福島第1原発事故の後、原発に恐怖を抱いたが「これまで原発に依存し過ぎた。将来はない方がいいけど、現実は難しい」と複雑な心境だ。

 神戸市灘区のOL圓山ゆかりさん(49)は福島の事故が起きるまで、福井県の原発から電力が送られている事実を知らなかった。「今まで近くになかったから、人ごとだった。でも原発は怖い。電力料金が高くなってもいいから、火力や水力に代替してほしい。命には代えられない」

  ■  ■  ■

 脱原発を唱える橋下徹大阪府知事は今夏、「エアコン切れば原発止まる」のキャッチフレーズを掲げ、節電の協力を求めた。府庁では照明の間引き、OA機器の待機電力抑制などを徹底した。担当の地球環境課は10%以上の節電は達成できたとみる。

 関西企業も照明や空調などの利用を抑えた。帝国データバンク大阪支社は「ノー残業デー推進や照明のLED化も多かった」とする。鉄道各社はエスカレーターの一部停止などに取り組んだ。

 だが関電の調べでは、管内の企業や家庭の節電効果は約5%(160万キロワット)にとどまる。

 町工場が集積する東大阪市でプラスチック製品製作会社を経営する細川征二さん(70)は「節電なんてしてられん。機械止めたら何百万円って損失が出る」。製パン機械製作会社社長の酒匂貞良さん(50)も「受注は24時間対応なので、15%節電なんて到底無理や」と訴える。

 両社長とも「原発を今全て止めるのは、現実的じゃない」と話すが、福島の事故で「原発はないに越したことはない」との思いも生まれた。

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 現在稼働中の関電の原発は4基。今の状況が続けば、年内に3基が止まり、来年2月には11基が全停止となる。八木誠社長は9月22日の記者会見で「冬の電力需給は夏以上に厳しい」と述べ、冬場には再び節電を要請する意向を示した。

 これに対し、橋下知事は「また『おおかみ少年』みたいなことを言っている」と批判。大阪市此花区の無職男性(70)も「関電はまだ余裕あるんじゃ。節電しようと思わん」と手厳しい。

 消費地は、節電や原発の必要性に“疑心暗鬼”となっている。

 民間シンクタンクの関西社会経済研究所は、関西の今夏の節電率は3・8%だったと試算。今冬の電力需給を見通すと、夏並みの節電なら平均気温6度に下がった場合に供給余力は3・6%の危険域に突入。東電管内並みの17・2%の節電をしても、平均気温1度に冷え込めば供給余力5・7%の厳しい状態に陥るという。

 稲田義久所長は「夏を乗り切り大丈夫と思っている人がいるが、今冬と来夏の見通しは非常に厳しい。原発の是非をめぐるエネルギーの議論は短期と中長期に分けて考えるべきだ」と指摘。再稼働できない中では、自家発電の増強などの対策が求められるとしている。


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