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「嶺南の禁句」を破り脱原発依存 原発の行方・プロローグ(2)

  • 2011年10月5日
  • 05:00
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福井県小浜、越前両市議会がそれぞれ「脱原発」を求める議案を提出した県市議会議長会。立地の敦賀市議会と激しい議論の末、否決された=2011年8月22日、福井市役所
福井県小浜、越前両市議会がそれぞれ「脱原発」を求める議案を提出した県市議会議長会。立地の敦賀市議会と激しい議論の末、否決された=2011年8月22日、福井市役所

 福井県おおい町に隣接し、関西電力大飯原発の半径10キロ圏内に市民の半分が暮らす同県小浜市で6月、市議会は全会一致で一つの意見書を可決した。期限を決めて原発からの脱却を求める内容。県内の地方議会で初めて「脱原発」の意思を示した。  「(脱原発は)これまで嶺南では“禁句”だったが、市議会の意思を示さなければならないと思った」と池尾正彦議長。東京電力福島第1原発事故後の4月に行われた市議選では、多くの有権者から原発に対する不安の声を聞いたという。

 準立地自治体として財政面や雇用などで原発から一定程度の恩恵は受けている。しかし「市民の命と生活を守る方が重要と気付いた」と池尾議長。批判は覚悟の上での決議だった。

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 小浜市では1970年代に原発の誘致、2000年代には使用済み核燃料の中間貯蔵施設を誘致する動きがあったが、いずれも市民が反対の声を上げて拒んだ経緯がある。原発設置反対小浜市民の会の中嶌哲演さんは、今回の意見書を「40年間の市民運動が積み上げられた結果。福島の事故を機に原発推進派の保守系議員も意識が変わった」とみる。

 ただ「全会一致」だった市議会にも、市民の中にも温度差、異論はある。

 9月議会の一般質問で2議員が「愚かさを恥じている」「反原発ととらえられている」などと発言。立地市町や原発関連の仕事に就く市民への配慮が欠けていたと反省した。「市民の意向を反映していない」「市を孤立させてどうするのか」といった批判も受けたという。

 脱原発は表明したものの、小浜市が目指す原子力安全協定の見直しには立地自治体の協力が不可欠だ。おおい町議会に呼び掛け13日に原発に関する初の意見交換会を開く。池尾議長は「立場は違うが、互いを理解したい」とし、対話の重要性を強調する。

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 県内では小浜に続き越前市議会も6月、脱原発の意見書を可決した。脱原発依存を口にする市町長もいる。しかし、大きなうねりにはなっていない。

 8月の嶺南市町議長会で小浜市議会は脱原発の議案を提出したが、同じ準立地の若狭町議会は反対に回り、不採択となった。「原発が基盤産業の嶺南の意思として、『脱』には急に舵(かじ)を切れない」と武田敏孝町議会議長。町内では労働者の1割が原発で働いているとのデータがあり「賛成派、反対派の町民意見が入り乱れている」という。

 準立地市町の中には、安全協定見直しをてこに電源三法交付金の格差解消を探るところもあり、ひとくくりにはできないのが現状だ。

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 越前市議会は意見書の中で、日本原電敦賀3、4号機の増設中止も求めた。一方で同市は、増設に伴う電源立地促進対策交付金として2010年度に6千万円を受け取り、11年度も1億2千万円を見込む。一般質問では電源三法交付金全体の辞退をただす意見が出たが、市の明確な回答はなく、市議会としても具体的な動きはない。

 「脱原発の姿勢を明確にするため」として、福島県南相馬市、浪江町が新規原発建設に伴う交付金の辞退を表明したのとは対照的だ。

 小浜市が10年度までの36年間に受けた交付金は約60億円。11年度は約1億4千万円で、公民館や小中学校の電気代や人件費の一部などに充てる。「当初予算の1%ほどだが、なくなると厳しい」と市財政課はみる。

 池尾議長も辞退の考えはない。「原発がある以上、市民は危険な中で生活している。法律で定められており、もらうのは当然」


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