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放鳥コウノトリ、古里忘れないで 住民が羽ばたく姿仰ぎ願う

  • 2015年10月4日
  • 11:25
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悠々と舞うコウノトリに歓声を上げる人たち=3日午前10時50分ごろ、越前市菖蒲谷町
悠々と舞うコウノトリに歓声を上げる人たち=3日午前10時50分ごろ、越前市菖蒲谷町

 2羽のコウノトリが大きな弧を描き、晴天の秋空を舞った。福井県越前市白山地区の山あいに、約500人の拍手と歓声がこだました放鳥式典。これまで飼育ケージに足を運び続けた地元の見守り隊や、無農薬農業に取り組んできた住民たちは、その姿を仰ぎながら同じ言葉を口にした。「古里に必ず戻っておいで」

 二つの白い木箱のふたが開き、最初に雌の「ゆめちゃん」が飛び出した。観客を見渡すように何度も旋回する中、今度は雄の「げんきくん」が飛び立った。越前市の農家でつくる「コウノトリ呼び戻す農法部会」の会長、稲葉洋さん(68)=同市黒川町=は腕を組み、手にした双眼鏡越しではなく自らの目で、食い入るように見つめた。「2羽とも上手に飛んだ。きれいなもんやなあ。友達連れて帰って来いよ」

 今年4月、トラクターで田起こしをしている10メートルほど先に、県外から飛来したコウノトリがいた。人を恐れることなく、餌を探す姿に、稲葉さんは「昔の白山に戻った気がした」。日常の風景にコウノトリが溶け込むような古里を思い描きながら「今日が新たなスタート」と話した。農法部会初代会長の恒本明勇さん(68)=同市都辺町=も「放鳥によって、われわれのような取り組みが広がれば」と力を込めた。

 「今日は一生の宝物。苦労したこともあったけど、吹き飛んだ」。越前市白山・坂口地区の住民らでつくる「水辺と生き物を守る農家と市民の会」前会長の堀江照夫さん(78)=同市曽原町=は目を赤くした。

 県内放鳥が決まった2010年以降、餌場となるビオトープの整備や、環境に優しい農法の拡大に向けて地元住民に協力を求め続けた。「なぜそこまでやる」と怒鳴られ、頭を下げたこともあった。11年に飼育が始まり、理解の輪は確実に広がっていった。

 放鳥の姿は子どもたちにも感動を与えた。初めてコウノトリが飛ぶ姿を見た地元坂口小6年の内山百合香さん(12)は「格好良かったあ」。泉直希君(8)=敦賀市野神=も「カモメぐらいかと思っていたけど、はるかに大きくてきれい」と歓声を上げた。

 越前市王子保地区の藤木志遠(しおん)君(11)は、10年に同地区に居着いた雌の「えっちゃん」が忘れられず、母貴子(あつこ)さん(39)に「放鳥の日は絶対連れてって」とお願いしていた。「王子保にもまた来てほしい。これから毎日空を見上げちゃう」と目を輝かせた。

 11年から飼育ケージを見守り続けてきた野村みゆきさん(56)=同市中津原町=は、訪れた大勢の人を見つめ「いろんな人に支えられて、この日を迎えることができた」と感慨深げに語った。

 放鳥前日には、コウノトリ野生復帰の先進地、兵庫県豊岡市で見守り活動を行っている市民団体から手紙が届いた。そこには「越前の空をコウノトリが舞い、定着してくれることを願っています」とのメッセージ。野村さんは「生き物が豊富な田んぼは決して重荷じゃなくて、地域の宝と言える社会になれば」と、思いを新たにしていた。


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