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【平成回顧】福井県内、原発廃炉相次ぎ決定 ビジネス化、地元模索

  • 2019年3月10日
  • 08:27
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廃炉作業で高圧タービン内にある設備の撤去に当たる作業員=2月25日、福井県美浜町の美浜原発1号機
廃炉作業で高圧タービン内にある設備の撤去に当たる作業員=2月25日、福井県美浜町の美浜原発1号機

 東京電力福島第1原発事故から3月11日で8年。津波で全電源が喪失、原子炉が冷却できなくなり、炉心溶融(メルトダウン)や水素爆発を起こした史上最悪の原子力災害は、原発15基を抱える福井県の情勢も大きく変えた。古い原発の関西電力美浜1、2号機など7基が廃炉に。これまで原子力産業の恩恵を受けてきた嶺南の立地地域は、経済的な縮小を避けられない“廃炉時代”をどう生き抜いていくのか。模索は始まったばかりだ。(敬称略)


 福島事故を教訓に新規制基準や運転期間の原則40年制限が導入され、関電と日本原電は2015年3月、40年超の美浜1、2号機と敦賀1号機の廃炉を決定。その後、日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅ、関電大飯1、2号機も続いた。


 「大飯1、2号機建設時の原子炉据え付けは自分がやった。美浜1、2号機でも蒸気発生器の交換などのクレーン作業をやってきたから、やっぱり廃炉は寂しいわな」


 わかさ東商工会会長の国川清(68)=美浜町=は、原発設備の取り付けやメンテナンス、クレーン作業を行う会社の社長だ。福島事故前は県内外の原発に飛び回り、13カ月間の運転後の度に行う定期検査の仕事に入ってきた。


 ただ、廃炉工事への参入はまだ手探りだ。「運転中は元請けの下での仕事が多かったけど、廃炉工事は今のところ入札ばかりや」と国川。美浜では今、放射線管理区域外のタービン建屋内の設備解体物を買い取り、運搬して問屋に売る仕事に従事している。


 今後7基の廃炉工事が本格化していくだけに、県や若狭湾エネルギー研究センターは、地元企業の参入を促すため、研修会や元請け企業との情報交換会に注力している。ただ、国川の見方は慎重だ。「原発内に作業員を入れる事前手続きだけで1カ月かかる。新規参入は考えにくいやろ」。厳しい核物質防護規定などがあり、参入障壁は高い。


 廃炉工事は息の長い作業だ。建物まで全ての撤去が完了する期間は、もんじゅと美浜1、2号機など関電の4基が30~31年間、敦賀1号機は24年間で終える予定だ。


 廃炉に掛かる費用は関電が1基当たり約320億~590億円、敦賀は約360億円の見込み。単純計算では、1基当たり年平均10億~20億円程度の発注となる。一方、運転中の原発1基の定期検査は1回で100億円前後とされる。地元にとって廃炉の仕事は、従来と比べてかなり小さなパイだ。


 「廃炉作業は定検のように地元企業みんながワーッと行って仕事をもらえるものではない。他社が持っていない独自技術を磨かないと生き残れない」。原発設備メンテナンスのテクノハーツ(敦賀市)社長の高橋伊佐美(55)は危機感を吐露する。


 福島事故後は県外の火力発電所や化学プラントなどのメンテナンスにも業務を広げ、社業を維持してきた。ただ、長年関わってきた地元の原発への愛着は深く「廃炉の最後まで、責任を持って仕事したい」と思っている。


 「廃炉作業で地元企業にビジネスチャンスがあるのは、解体で出る廃棄物の分別や処理、そして再利用。現場作業となるだけに、これまでの定検の経験やノウハウを十分活用できる」。こう指摘するのは廃炉研究の第一人者、福井大附属国際原子力工学研究所特命教授の柳原敏(68)。


 廃炉作業では低レベル放射性廃棄物のほか、放射能を帯びていない金属類、コンクリートのごみが大量に発生する。除染して放射能汚染が基準を下回ればリサイクルできる国のクリアランス制度もある。柳原ら福井大の部会は昨年8月、放射性廃棄物ではない解体ごみの再利用を考える研究会を立ち上げた。製品化や流通など“福井モデル”の再利用の可能性を探る考えだ。


 さらに柳原は、立地地域の将来の経済を見据え、廃炉が完了した後の跡地利用の重要性を訴える。「廃炉作業だけで地域が潤うわけではない。跡地や残されたインフラなどを利用して次のビジネスをどう展開していくか。地域がいろいろなアイデアを出し、廃炉工程の段階から議論していく必要がある」



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