
廃炉作業中の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)について、日本原子力研究開発機構は1月21日、当面の目標としていた1月中の使用済み燃料100体の取り出しを断念した。28日までに最大91体で本年度内の取り出し作業を終え、29日から本格化する定期検査に備える。監督する文部科学省の明野吉成もんじゅ・ふげん廃止措置対策監が21日、県と敦賀市に報告した。
もんじゅの燃料取り出しは当初、2018年末までの半年程度で100体を目標としていた。しかし性能試験で機器の不具合が相次ぎ、7月としていた作業の開始が8月末にずれ込んだ。12月には完了時期を今年1月中に延期したが、その後もトラブルが続いた。1月20日時点で取り出しが完了したのは83体にとどまり、100体という目標そのものを断念せざるを得なくなった。機構は「目標を達成できなかったことについて、地元をはじめとする皆さまに心配をお掛けすることになり、誠に申し訳なく思っている」とのコメントを発表した。
明野対策監は、県庁で清水英男県安全環境部長と面談した。昨年末から今月中旬にかけて計6日間、5班体制による1日2体の取り出し試行で作業を加速させたとした上で、「さらなる試行の追加を機構と検討してきたが、定期検査の安全な実施や、要員確保も必要なので、追加実施は困難と判断した」と釈明した。
一方で、「2度にわたる試行で、5班体制に移行可能ということが実証できたと考えている。今後の着実な実施につながる成果が得られた」と強調。積み残し分は今年9月から取り出しを予定している130体に追加し、約5カ月かけ5班体制で作業を完了するため、全体工程に影響は及ぼさないとした。
これに対し清水部長は「計画を守れなかったのは大変遺憾。工程変更の繰り返しは、機構や国の信頼に影響を及ぼしかねず、万全の体制で臨めるように指導監督を強化してほしい」と苦言を呈した。
敦賀市役所で面談した渕上隆信市長は「目標の100体の処理には及ばなかったが、安全を確認しながら慎重に作業したと受け止めている」とした上で、「これまでの作業で判明した問題点への対応を十分検討し、さらに予期せぬ不具合の可能性も想定した上で、工程や体制を再度見直していただく必要がある」と注文を付けた。
機構は今回の工程変更を含む全体工程の見直しについて、次回の規制委のもんじゅ廃止措置安全監視チーム会合で説明する。