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【論説】原発事故ドミノ 危機管理ができているか

  • 2011年3月16日
  • 14:29
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 「安全」なはずだった日本のの原子力。東日本大震災による東京電力福島第1原発の事故は最悪の状況にある。水素爆発を起こした1、3号機に加え、2号機で格納容器が欠損、放射性物質が漏れだした。定検中の4号機では使用済み核燃料プールで火災が起きるなど、深刻な危機が1~4号機で同時多発的に進む。大量の放射性物質の飛散は絶対避けなければならない。  この状況は、1979年の米スリーマイルアイランドを上回り、86年の旧ソ連チェルノブイリに次ぐ大事故だ。  東電の対策は終始、後手に回った。想定外の大津波で非常用発電機が故障し、外部電力の供給もないまま最後の頼りとされた緊急炉心冷却装置も作動せず、高温の核燃料を冷やす機能を失った。核燃料の冷却に失敗すると、そのほころびがドミノ倒しのように広がった。原発の多重防護が次々に壊れ、機能しなかったことは極めて重大だ。  2号機では作業員が見回りに出ている間に、海水を送り込むポンプの燃料切れが起き、注入できなくなった。これはヒューマンエラーだ。東電の技術力、原発震災への対応力に欠陥があったと言わざるを得ない。  敷地内の放射線量は一時400ミリシーベルトに達した。放射性物質の漏出を抑えるための綱渡りは厳しさを増しているが、各原子炉とも、冷却用の海水の注入継続に全力を挙げるべきである。  放射性物質の検出感度は高く、約200キロ離れた東京などでも観測された。市民の避難移動が始まった。しかし、原発周辺を除き、現時点で健康に影響するレベルに達する恐れはない。冷静に対処してほしい。  風評被害を避けるために線量データを刻々と公表すべきだ。確かな情報がないため、発表が信用されなくなる傾向がある。迅速な情報公開を注文する。  政府の対応にも多くの疑問がわく。菅直人首相は「福島原子力発電所事故対策統合本部」を設置した。東電と一体で対処するというが、危機的な状況に陥ってから既に5日目だ。  政府は大震災発生後、原子力災害対策特別措置法に基づき、「原子力緊急事態宣言」を発令し、対策本部を設置した。これが十分機能していないことが問題である。不正確な情報発信やちぐはぐな事故対応。未曽有の事態に、危機管理能力の欠如があらわになっている。  首相は震災発生の翌日、ヘリコプターで上空から原発を視察し、リーダーシップを見せた。だが肝心の事故対応は東電に丸投げ。情報源も東電頼みだ。1号機での水素爆発発生時、テレビで報じられているのに状況をつかめず、枝野幸男官房長官の発表は具体的な説明が皆無だった。一刻も早い周知が求められるのに、逆に住民の不安感をあおったとの批判を浴びた。  今さら言うまでもないが、原発の安全確保などに関する権限と責任は一元的に国にある。  事態は進行中であり、責任問題を取りざたしているときではない。態勢を立て直すという観点から、政府は危機管理を総点検してもらいたい。  阪神大震災を上回る惨状に、対処すべき範囲は広い。政府は計画停電も会社任せで、多角的に検討しなかった。大混乱が生じたのは、交通インフラの確保や住民への周知方法など政府が総合調整機能を果たしていなかったのが主因だ。被災地まで画一的に停電対象としたこともそれを象徴する。  福島県の佐藤雄平知事は電話で首相に「県民の不安や怒りは極限に達している」と訴え、国が責任を持って早期収拾するよう要請した。被災地での医療機器、燃料の不足も深刻になっている。被災民への手当ても遅れている。日本経済も暗雲漂う。東電に求めた「覚悟」は首相、政府に突きつけられている。


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