
廃炉作業中の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の使用済み燃料取り出しを巡り、所管する文部科学省の明野吉成もんじゅ・ふげん廃止措置対策監が3日、清水英男県安全環境部長と渕上隆信敦賀市長に工程の見直しを報告した。5班体制による作業の加速は来年度からとし、現在の取り出しペースは1日1体のまま据え置き。100体の取り出し完了時期は1カ月程度延期する。
日本原子力研究開発機構は8月30日にもんじゅの燃料取り出し作業を開始。年内に100体を終える予定だった。しかし機器の不具合などが相次ぎ、2日までに取り出したのは53体。年内終了を断念するか、体制を見直して作業を加速するかの選択に迫られていた。
県庁での面談で明野対策監は「機構は、習熟度のさらなる向上の観点から、5班体制は来年度から移行することが最善と判断した」と説明。「安全最優先で、12月までとしていた作業を1カ月程度延長する」と述べた。22年末の全燃料取り出し完了に影響は及ぼさないとした。
清水部長は「安全最優先こそが重要」と一定の理解を示した上で、「国は機構任せにせず、現場の状況を把握し、工程管理を今まで以上にしっかりしてもらいたい」と注文した。
渕上市長は市役所での面談で「燃料取り出し作業の開始が1カ月遅れた際の工程検討が十分ではなく、見通しが甘かったと受け止めざるを得ない」と苦言を呈し、文科省が責任を持って工程管理するよう念を押した。
明野対策監は終了後「(設備への)ナトリウムの付着など新たな課題が出て、一つ一つ原因究明して対策を打ってきたことで遅れが生じているので、現場ではしっかり取り組んでいると考えている。ただ、当初計画に十分じゃない部分があった点は真摯に受け止め、今後地元に丁寧に説明し不安を取り除く努力をする」と記者団に話した。
機構は100体の取り出し完了までに5班体制を試行した上で、来年度からの移行を最終判断する。5班体制にした場合、2022年末より早く取り出しを終えられる可能性が高いが、現段階で全体工程の前倒しの予定はないという。