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福島第1原発事故の東電裁判、津波対策先送り指示焦点 過剰安全投資、負担増に

  • 2018年10月17日
  • 09:03
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東京地裁前で開かれた被災者らの集会(左上)、煙を上げる福島第1原発3号機(右下)を背景に、武藤栄元副社長(右上)ら東京電力旧経営陣のコラージュ
東京地裁前で開かれた被災者らの集会(左上)、煙を上げる福島第1原発3号機(右下)を背景に、武藤栄元副社長(右上)ら東京電力旧経営陣のコラージュ

 東京電力福島第1原発事故を巡る東京地裁の公判で、東電旧経営陣3人への被告人質問が始まった。焦点は「必要と知りつつ津波対策の先送りを指示したのか」。無罪を訴える3人には、政府の定めたルールには違反していないとの意識が強く、東電内部からは、安全への過剰投資は国民の負担増にもつながるとの本音も。原発事故の責任を負うべきなのは誰か―。真相解明に向けた被告人質問は今月末の勝俣恒久元会長まで続く。


 ▼穴埋め


 東京地裁104号法廷。業務上過失致死傷罪に問われた武藤栄元副社長は「(第1原発の)安全は維持されていた。対策を先送りしたということは全くない」と言い切った。


 2008年春、第1原発の敷地が海抜15・7メートルの大津波で水没する危険性があるとの試算を子会社「東電設計」が報告。担当だった武藤元副社長は同年夏、津波の計算手法を見直すよう部下に指示し、防潮堤建設などの先送りを命じたとされる。


 武藤元副社長は、試算の前提には不確定な要素が多く、防潮堤建設などの対策についても「会社としての機関決定は無理で(曖昧な試算の)穴埋めをするのが適切な手順だった」と説明。先送りではないと強調した。


 上司の武黒一郎元副社長には08年8月に経緯を伝えたと説明。07年の新潟県中越沖地震で損傷した柏崎刈羽原発の対応に追われる武黒元副社長は「今度は津波か」と漏らしたという。


 ▼ツケ


 「東電設計の試算と事故時の津波の高さがほぼ同じだったのは偶然の一致だった」。東電関係者はこう打ち明ける。


 第1原発敷地内に防潮堤を新設するとなれば、巨額の建設費に加えて原子炉停止による損失も生じる。最終的には電気料金の値上げにつながる。東電の損失は国民への「ツケ」となる仕組みだ。必要不可欠の対策であると説明できなければ、株主総会で経営陣が判断の是非を問われかねない。


 事故前、東電が津波想定の見直しを検討したのは、国の安全基準が06年に改定されたためだ。


 旧原子力安全・保安院が指示した06年基準に照らした安全性見直し作業は強制力が乏しく、不合格でも原発の許可取り消しに直結しない。公判で武藤元副社長は「見直し作業は手続き。安全性をどう積み上げるかを、われわれが考えるのが先だった」と語った。


 事故被害者の代理人として公判に加わる海渡雄一弁護士は、東電の現場は旧保安院の指示を強く意識していたと指摘。現場の提案した津波対策を取り上げなかった責任を回避するためで「明らかにウソだ」と、武藤元副社長の態度を批判した。


 ▼警告


 東電の08年試算のベースとなったのは、政府の地震調査委員会が02年、東北の太平洋岸に大津波の危険があるとした「長期評価」だ。重大な警告だが、旧保安院の危機感は鈍かった。事業者頼みとも批判される当事者意識の希薄さの表れだ。


 旧保安院関係者は「事業者の意見を聞いて取り入れることが実効性の高い規制につながる」と説明。電力側にも「安全対策の主体は自分たち」との意識は根強い。


 ある政府関係者は「法令や基準で縛るなと言って、新基準の策定を邪魔したり、軽視したりするのが電力会社。それは、震災前も今も変わっていない」と指摘した。


起訴内容要旨


 東京電力旧経営陣3人の起訴内容の要旨は次の通り。


 東電の役員として、福島第1原発の運転、安全保全業務に従事し、想定される自然現象で原子炉が安全性を損なう恐れがある場合、適切な防護措置を講じる業務上の注意義務があった。


 高さ10メートルの原発の敷地を超す津波が襲来し、タービン建屋が浸水して原発の電源が失われ、冷却機能が喪失して事故が発生する可能性を予見できた。これを防ぐ注意義務を怠り、漫然と原発の運転を継続した過失により、2011年3月11日の東日本大震災による津波で全交流電源が喪失。原子炉の炉心が損傷するなどした。


 その結果、3月12日に1号機、14日に3号機で水素爆発が起き、飛び散ったがれきなどで自衛官ら13人にけがを負わせた。双葉病院(福島県大熊町)の入院患者らに長時間の搬送を伴う避難を余儀なくさせるなどして44人を死亡させた。



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