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夢描けない高速炉、どう士気維持 もんじゅ廃炉の課題(下)

  • 2018年9月5日
  • 19:40
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民間企業が廃炉技術を高めることができる原子力機構の「ふくいスマートデコミッショニング技術実証拠点」。もんじゅの廃炉作業への地元企業参入が課題となっている=6月16日、福井県敦賀市のアトムプラザ
民間企業が廃炉技術を高めることができる原子力機構の「ふくいスマートデコミッショニング技術実証拠点」。もんじゅの廃炉作業への地元企業参入が課題となっている=6月16日、福井県敦賀市のアトムプラザ

 「もんじゅを30年で安全に後始末することが、今後の高速炉開発が社会に受け入れられるための大事な条件。将来の開発の一端を担う意識で、職員一丸となって廃炉作業を進める」


 もんじゅ(福井県敦賀市)の安部智之所長は7月8日の記者会見で、国内初となるナトリウム冷却高速炉の廃炉作業に臨む職員の士気の高さを強調した。


 政府は、原型炉もんじゅに代わる今後の高速炉開発をフランスとの共同研究などで進め、年内には次段階に当たる実証炉開発などの工程表を示す方針。だが、もんじゅの廃炉は事実上の後退と言え、高速炉の将来は闇の中だ。


 「職員たちは研究が本来の職分と思っているため、もんじゅの高速炉研究が道半ばとなり、廃炉作業を“やらされている”感がある」。もんじゅに技術的助言を行う文部科学省の専門家会合委員の来馬克美福井工大教授は、日本原子力研究開発機構の積極性のなさを厳しく指摘する。


 もんじゅでは廃炉決定後、単純な人為ミスも出ており、職員のモチベーション低下の懸念はぬぐえない。来馬教授は「30年間一貫して廃炉をやり切る、という筋の通った人材を育てることが重要」と強調。廃炉を目的化させるため、国が機構に工程短縮や経済性の実証といったミッションを与えるのも一案とした。


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 「若い世代が廃炉作業に魅力を感じてやってくれるのかが心配」―。7月に福井、敦賀両市で開かれた、機構が各種団体の代表らと意見を交わす懇話会。もんじゅの廃炉作業に対し、出席した委員からは人材確保や育成を不安視する意見が相次いだ。


 廃炉という後ろ向きな仕事に、若者が果たして志望するのか、という懸念が背景にある。機構側は「国を挙げて人材育成に取り組んでいる」「大学との連携を強化する」などと答えたが、長い廃炉作業を見据えた中長期的な人材確保は重い課題だ。


 地元大学では廃炉作業を担う人材を輩出しようと、国の人材育成事業を活用した積極的な動きも出てきた。福井工大原子力技術応用工学科の学生らは11月、廃炉作業が先行するフランスの高速増殖実証炉「スーパーフェニックス」などを視察予定だ。


 視察に参加する同科3年の西村豊さん(20)は「現地で冷却材ナトリウムの処理方法を見学し、将来のもんじゅの廃炉に役立つような情報を学びたい」と目を輝かせた。


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 一方、地元敦賀市は、もんじゅ関連で働く約千人の雇用が守られるのかを不安視する。いまは廃炉前と同じ管理が必要なため、地元企業も設備の点検業務などに従事するが、難関の燃料取り出しやナトリウムの処理が終われば解体が進み、保守管理業務がどんどん減っていくからだ。


 政府は「10年間雇用を維持し、以後の減少分を補う道筋を示す」としているが、具体的な対策は示していない。


 もんじゅの保守管理に長年携わってきた市内の会社は、先細りする将来を見据え、他県の原発の点検業務などに乗り出した。ただ、60代の幹部社員は「『売り手市場』の人材争奪戦の中、もんじゅ廃炉の影響を受けるイメージがあったのか、今年は新入社員が入らなかった」と吐露する。


 もんじゅの廃炉作業への地元企業参入も課題だ。機構は6月、敦賀市内に廃炉ビジネスを担う企業群を育成する「ふくいスマートデコミッショニング技術実証拠点」を開所した。だが、企業側からは「参入に直結する技術が本当に取得できるのか」と疑問視する声もある。


 新規参入への兆しが見えない状況に、市内の経済界からは「機構は地元をないがしろにしている」との批判も。地元主体の廃炉ビジネスの確立が重要となる。


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