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問われる保全、対処力 最大の関門、燃料取り出し もんじゅ廃炉の課題(上)

  • 2018年8月31日
  • 12:54
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もんじゅの燃料取り扱い設備。手前の床下にある燃料を取り出し、奥の方へ運ぶ。最奥に見えるのが燃料出し入れ機=福井県敦賀市のもんじゅ
もんじゅの燃料取り扱い設備。手前の床下にある燃料を取り出し、奥の方へ運ぶ。最奥に見えるのが燃料出し入れ機=福井県敦賀市のもんじゅ

 日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の燃料取り出しは、30年に及ぶ廃炉作業の最初で最大の関門となる。機器の運転は自動化されているため、専門家は「操作自体はそんなに難しくない」と口をそろえる。必要とされるのは、トラブルを見落とさない機器の保全力と、万一のトラブルの際の対処力だ。


 「2010年の炉内中継装置落下事故を機に対策しており、物を落とすようなミスは起きない」。7月8日に記者会見した、もんじゅの安部智之所長の表情は自信に満ちていた。しかしその4日前、機器の最終調整中に、燃料のつかみ具が動かなくなる不具合は既に起きていた。


 もんじゅは今年に入って不具合続きだ。3月に点検手順の不備で機器を故障させるトラブルを起こした。同月中に廃炉認可は得たものの、6月には職員が転落して負傷。7月の総合機能試験では5件の不具合に見舞われ、ようやくこぎ着けた模擬訓練は、初日から警報が鳴った。


 機構職員は「深刻なトラブルはなく、試験は不具合つぶしの目的もある」と強がる。しかし機構が自ら決めた燃料取り出し開始が2カ月近く遅れていることが、「想定外続き」を証明している。
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 不具合続出の根本原因は、設備を動かした経験不足に起因するものがほとんど。機構の児玉敏雄理事長は「この20年(ほとんど止まっていて)、昔あった作業でも、今の人間は経験していないところがある」とうなだれた。


 試験初日から発生した不具合は、機器を洗浄せず放置したのが原因。「つかみ具は特殊なガスが入った機器の中で管理しているから問題ない」という油断が不具合を招いた。訓練初日の不具合は、ゴムの劣化を見落としたのが原因だった。


 県原子力安全専門委員会の中川英之委員長は「事前点検の段階で見つけられる事象がいくつもあるというのは反省すべきだ」と指摘。「燃料取り出しの実力はあると思うが、油断すれば必ずトラブルを起こす」と苦言を呈す。
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 機器の保全同様に、機器を扱う作業員の力量も重要だ。


 もんじゅは冷却材に金属のナトリウムを使っており、取り出し作業中は燃料の目視ができない。燃料をつかみ、引き上げて移動する際の状態は、計器が示す数値からしか分からない。仮につり上げ途中で炉心の燃料を落としてしまうと、「取り出せないことはないが、途方もない時間が必要となる」(機構担当者)。数値からプラントの状態を正確に把握する力が、作業員には求められる。


 また、「一般の原子炉に比べ運転実績がないため、操作手順そのものが生煮えという可能性もある」(県職員)。原子力規制庁の担当者も「マニュアルが先行して、現場での技術者としての感性が消えていっているのではないか」と機構に疑問をぶつけた。手順書にない事態が起こった際の対応も、燃料取り出し作業では重要となる。


 6月末、もんじゅを視察した更田豊志原子力規制委員長は、数々のトラブルを起こしてきた機構が廃炉に取り組むことに「普通にできることをいかに普通にできるか、というのがもんじゅの問題だ」と表現した。
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 「夢の原子炉」といわれたもんじゅの本格的な廃炉作業が始まった。国内初となる高速炉廃炉で30年に及ぶ一大プロジェクトの課題を検証する。



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