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意思決定“地元丸投げ” 島根原発新規稼働申請審査

  • 2018年8月8日
  • 11:16
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島根県の溝口善兵衛知事(左)に、島根原発3号機の事前了解を申し入れた中国電力の清水希茂社長(中央)ら=松江市
島根県の溝口善兵衛知事(左)に、島根原発3号機の事前了解を申し入れた中国電力の清水希茂社長(中央)ら=松江市

 島根原発3号機(松江市)の新規稼働に向けた原子力規制委員会審査の申請を容認する関係自治体の回答が出そろった。中国電力が松江市と島根県に事前の了解を申し入れてから2カ月余り。今後、議論の場は規制委に移り、審査に合格すれば、稼働の可否に関し再び地元に判断が委ねられるが、新たな原発の必要性や、地元丸投げともいえる意思決定の在り方を巡り、課題が浮き彫りになった。


 ▽稼働ありき


 「原子力発電と将来のエネルギー比率の全貌が見える形にしていかないと」。7月12日、島根県出雲市の長岡秀人市長は、市役所を訪れた中国電力の岩崎昭正島根原子力本部長に、申請を容認しつつも厳しい表情で指摘した。


 中国電力は電力の供給に当たって安全を第一に、経済性、環境への適合、安定性を掲げ、原発の必要性を強調。1号機が廃炉となり、国際情勢に燃料価格などが左右されやすい火力発電が発電電力量の85%(2017年度)を占める同社にとって、3号機の稼働は喉から手が出るほど欲しい。


 中国電力がこうした現状を火力発電設備の老朽化とともに説明すると、長岡市長は「具体性が欠けている」とし、老朽火力発電所が稼働できなくなる具体的時期を明確にするよう注文を付けた。


 今年6月の島根県原子力安全顧問会議でも、参加した明治大の勝田忠広教授(原子力政策)が終了後、「必要性が伝わっていない。3号機の稼働ありきの話になっている」とぶちまけた。


 ▽独自の意見を


 島根県の溝口善兵衛知事は中国電力からの事前了解申し入れを受け、立地自治体の松江市と島根原発から30キロ圏内の周辺自治体1県5市の考えを重んじる姿勢を打ち出し、これらの自治体が申請を了解すれば、自身も了解するとした。


 これに対し、島根県議会総務委員会は「知事自らが判断に至った根拠について、分かりやすく示すことを強く求める」と知事独自の意見を出すようにけん制。ある県幹部も「他が容認したから、という理由だけでは持たない」と苦言を呈した。


 しかし(申請を了解した)7日の記者会見でも溝口知事は、経緯や、規制委の専門的審査が必要などと記した資料を読み上げるにとどまり、報道陣とのやりとりでも「書いた通り」などと素っ気なかった。


 ▽国の説明責任


 当初から了解に前向きだった松江市はあっさり7月3日に了解。翌日、安来市や出雲市など島根県内の周辺自治体3市長は、中国電力本社(広島市)を訪れ、立地自治体と同様に、原発稼働の際に3市に事前同意を求める安全協定の締結を申し入れた。また、鳥取県は、同県米子市、境港市と共同チームをつくり、専門家も交えて独自に安全性の検証を進めた。


 だが、利害が異なる立地・周辺自治体が一堂に会する場はなく、国が調整などに乗り出すこともなかった。


 今後、規制委の審査に合格したとしても、3号機の必要性に加え、近くの宍道断層、耐震設計の目安になる揺れ(基準地震動)など安全性について幅広い議論が要る。


 原発と地方自治に詳しい長野県立大の田村秀教授は「必要性や安全性について丁寧に説明するのは本来は国の責任。自治体間では決めようがない。島根原発のように自治体に丸投げしていると、同じような問題がこれからも起きる」と話す。



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