
文部科学省は7月27日、高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の廃炉作業計画を立地自治体に説明する「連絡協議会」を同省で開いた。廃炉作業の最初の工程になる使用済み燃料取り出しについて、今月下旬としていた開始時期を8月に延期したことを伝えた。作業に向けた点検段階で、機器に不具合が相次いだため。
協議会で文科省幹部は、福井県の藤田穣副知事と敦賀市の片山富士夫副市長に対して、燃料出入機の異常などトラブルが続き、使用済み燃料を一時保管先の炉外燃料貯蔵槽からプールに移す作業が遅れると説明。もんじゅの運営主体の日本原子力研究開発機構が8月中に作業を始める方針だと伝えた。
藤田副知事は、不具合が頻発し作業が遅れていることについて「出だしからトラブルが相次ぎ、安全に廃炉ができるのか不安だ」と指摘。「機構だけでなく国にも責任があることをもう一度認識してほしい。機構への指導監督、計画段階でのマネジメントをしっかり行ってほしい」と注文した。
片山敦賀市副市長は「これまでの点検作業の信頼性に疑問を持たざるを得ない。実際の作業開始に向け、万全の状態になったことを政府が責任をもって見極めてほしい」と要望した。
燃料取り出し時期については現在、作業工程をモニターするカメラに不具合があり、最終的な模擬訓練に入れない状況。具体的な日程は決まっていない。
もんじゅの廃炉工程は4段階あり、第1段階として2018~22年度に使用済み燃料530体を炉心や貯蔵槽から取り出す。当面の計画では、まず1日1体程度の燃料を処理し、年内に100体を取り出す予定。
連絡協議会は国と県、敦賀市が連絡体制を密にするため今年2月に設置された。