福井と沖縄、原発と基地のニュースサイト

動かぬ核燃料再処理工場 もんじゅとプルサーマル(14)

  • 2010年10月6日
  • 12:56
  • Twitterでシェア0
  • Facebookでシェア0
  • Google+でシェア
  • 0
完成時期を2年延期した使用済み核燃料再処理工場の中央制御室=2010年9月13日、青森県六ケ所村
完成時期を2年延期した使用済み核燃料再処理工場の中央制御室=2010年9月13日、青森県六ケ所村

連載「動き出す2つの環 もんじゅとプルサーマル 第3部・後処理の行方 (1)動かぬ再処理工場」

 原発で使った核燃料からプルトニウムとウランを取り出して再利用する核燃料サイクルで、中核施設となる使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)。日本原燃は2010年10月としていた完成時期を2年延ばし2012年にすると9月に公表した。

 当初計画では1997年の操業予定だったが、現時点で15年遅れ。延期は18回目で、06年3月の試運転開始後だけでも9回目となる。

 発表から3日後の9月13日、再処理工場を訪れると、広さ約2千平方メートルの中央制御室には重い空気が漂っていた。言葉少なに、工程の状況を示すモニター画面に視線を注ぐ約80人の運転員。原燃の赤坂猛広報部長は「時間をかけて慎重に技術を習得するしかない」と険しい表情で語った。

   ■  ■  ■

 試運転は、当初1年半で終わる予定だった。現在の進ちょく率は99%。最終段階でまたもや大きくつまずいた。放射能レベルが高い廃液をガラスに混ぜる溶融炉で、廃液漏れや内部のれんが落下、金属の詰まりなどが相次いだのだ。炉内の温度管理の不十分さが主な原因とされ、温度計の追加などの改善をする方針。ただ、溶融炉の再稼働の時期について赤坂部長は「国や地元の了解を得なければならず、まだはっきりしない」と言葉を濁した。

 再処理の各工程は、厚さ1メートル超のコンクリート壁で覆われた大小約300のセル(小部屋)で行われる。出入り口はなく、機器の運転や補修はすべて中央制御室からの遠隔操作。ここでも万一トラブルが起これば復旧までに年単位の期間が必要になる。

 国策の要と位置付けられながら、延期の繰り返し。経済産業省資源エネルギー庁の有馬伸明原子力立地・核燃料サイクル産業課長補佐は「新しい技術を取得する過程で、やむを得ない面もある」と擁護する。

 しかし、国の原子力委員会の近藤駿介委員長は「溶融炉を必ずしも十分に制御できていなかった。本来はもっと前からモックアップ(実物大の模擬装置)で試験しておくべきで、一発勝負でうまくいくという格好でやってきたことに間違いがある」と手厳しい。

   ■  ■  ■

 2年の延期はこれまでで最長だ。原燃の川井吉彦社長は記者会見で「最後の工程変更の覚悟。不退転の決意で取り組む」と述べたが、本当にこの期間で完成させられるかの保証はない。

 遅れに伴い、約7600億円と見込んでいた総工費は約2兆1900億円まで膨らんだ。原燃は延期とともに4千億円の増資を決め、主要株主の関西電力、北陸電力など電力10社を中心に支援を要請した。試運転延長に伴う経費などに充てられるが、膨らむ事業費は電力料金に跳ね返る。

 それ以上に「日本に一つしかない工場に、いろいろな意味で依存している」(近藤委員長)という再処理工場が完成しなければ、核燃料サイクル自体が揺らぐ。

   ×  ×  ×

 高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)が2010年5月に運転再開し、関電高浜原発3号機では国内4番目となる本格的なプルサーマル発電の開始が迫る。核燃料サイクルの「二つの環(わ)」が動きだす一方で、先行きが不透明なままの使用済み核燃料再処理を含めたバックエンド(後処理)の現状を追った。


基地 from 沖縄 カテゴリーニュース

原発 from 福井 カテゴリーニュース

原発 from 福井 カテゴリーニュース

基地 from 沖縄 カテゴリーニュース