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高速炉実証炉・アストリッドの現状 「経営火の車、現実的でない」

  • 2018年7月3日
  • 11:06
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インタビューに応じる在仏映画監督の渡辺謙一さん
インタビューに応じる在仏映画監督の渡辺謙一さん

 高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の廃炉決定後、日本が高速炉開発の柱としてきた日仏共同研究の高速炉実証炉「ASTRID」の計画が大幅縮小される見通しとなったのを受け、フランス在住で原発や核燃料サイクルのドキュメンタリー作品を製作する映画監督渡辺謙一さんに、現地の状況を聞いた。


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 アストリッドの将来の運営会社フランス電力(EDF)は、昨年度の決算報告によると負債額が約330億ユーロ(約4兆2千億円)ある。その上、次世代炉の主力としてフランス北部に建設した大型の欧州加圧水型炉のフラマンビル原発3号機は、今年中の予定だった運転開始が早くて2020年に先送りとなった。


 経営は“火の車”と言える。アストリッドに予算を回す状況ではなく、現実を反映した技術開発とは到底言えない。


 フランス経済紙レゼコーによると、アストリッドには既に研究者ら600人が関わり、設計が始まった10年から来年末までに使われる予算は約9億ユーロ(約1150億円)という。だが、その後の研究費をどこから捻出するかは決まっておらず、最大の課題だ。日仏で折半するとの話もある。


 もんじゅに計1兆円超の国費が投じられたのは、それは競争産業ではなく、国家の擁護のもとで甘やかされたからだ。


 マクロン大統領は今年1月の訪中で原子力分野での関係強化を打診し、再処理施設を中国に建設することが内定している。フランス原子力庁内部では中国に触手を伸ばす気配があり、その駆け引きに日本が巻き込まれるのではないか、と私は懸念している。


 フランスの高速炉開発を振り返ると、1998年に実証炉「スーパーフェニックス」の廃炉が決定し、高速炉に関するイメージは大きく傷ついた。国民の大半は、高速炉開発はそこで終わったという認識だろう。


 そもそもアストリッドの設計が始まったのは東京電力福島第1原発事故の前年だった。同事故を受けフランスでは、原発に対してそれまで湯水のように使っていた予算について原子力安全機関と会計検査院が警告を出し続けている。原発を巡る政策は迷走しているのが現状だ。


 


 


 


 わたなべ・けんいち 埼玉県出身。75年に岩波映画製作所入社。97年渡仏。作品に「フクシマ後の世界」(2012年)、「フランス原子力の軌跡」(13年)、「核の大地・プルトニウムの話」(15年)など。


 


 


 



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