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核のごみ、受益と負担の均衡課題 原発の行方・第5章(18)

  • 2013年2月23日
  • 05:00
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六ケ所村の貯蔵施設に搬入される高レベル放射性廃棄物(左)、1996年の3県知事提言(右上)、エネルギー政策をめぐり2012年開かれた意見聴取会(右下)のコラージュ
六ケ所村の貯蔵施設に搬入される高レベル放射性廃棄物(左)、1996年の3県知事提言(右上)、エネルギー政策をめぐり2012年開かれた意見聴取会(右下)のコラージュ

 「核のごみ」の処分をめぐり日本学術会議は2012年9月に示した提言で、広く国民の間で問題認識を共有し、多段階の合意形成の手続きを工夫する必要があると指摘した。

 国の計画では、高レベル放射性廃棄物を国内のどこか1カ所に集中させて最終処分する。だが、処分場立地への動きを見せたのは人口の少ない地方部ばかり。電力の大部分を消費する大都市圏には、処分を引き受けようとする動きはない。

 「受益圏と受苦圏が分離する不公平な状況」。学術会議は受益と負担のバランスが崩れた現状をこう指摘し、説得力を持って対処できる政策決定手続きを求めた。検討委員長を務めた今田高俊東京工大大学院教授は「不公平をどう処理するか。徹底的に議論して社会的なコンセンサスが得られるようにしないと、こじれる」と訴える。

 「時間をかけて国民の理解を得ながら進めていくことが大事だ」と強調するのは核燃料サイクル施設が立地する青森県六ケ所村の古川健治村長。使用済み核燃料の中間貯蔵施設を全国で唯一誘致した青森県むつ市の宮下順一郎市長も、国に対し「逃げずに議論をしてほしい」と注文する。

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 「今後の原子力政策の基本的な方向について、あらためて国民各界各層の幅広い議論、対話を行い、合意形成を図る」。1996年1月、高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故を受け福井と福島、新潟の3県知事は首相に対して異例の提言をした。

 提言の柱は、国民的議論、合意形成の重要性。核燃料サイクルと密接に関係する使用済み核燃料の貯蔵保管のあり方、高レベル放射性廃棄物の処理といったバックエンド(後処理)問題についても議論を求めた。

 提言後、国は原子力政策円卓会議を設置。原子力開発利用長期計画の策定では住民意見の反映に努めた。十分というにはほど遠いが、一定の前進はあった。当時、福井県原子力安全対策課参事として調整に奔走した来馬克美福井工大教授は「提言は画期的だった」と振り返る。

 しかし、東京電力福島第1原発事故で大きな壁にぶち当たった。

 昨年、民主党政権下で将来の電源構成をめぐる「国民的議論」が行われたが、実質的な期間はわずか2カ月。手法についても多くの課題を残した。国民的合意にはほど遠い。

 来馬氏は、原子力をめぐるリスクと負担は立地地域に偏っており「電力の大消費地と立地地域の住民意識に大きなギャップが存在する状況が続く限り、何も変わらないだろう」と案じる。

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 これまで原子力政策の議論は国、事業者など推進側と強い意見を持つ反対派に限られてきた。原子力委員会の鈴木達治郎委員長代理は「普通の人たちの意見を組み入れる仕組みがない」と問題点を挙げ、国民的議論のためには中立的な機関を設け、市民が分かりやすく信頼できる情報を提供すべきだという。

 核のごみの処分について「『技術的信頼性』以前に、政策のつくり方の『プロセスの信頼性』が欠如している」と提起するのは、環境ジャーナリストで幸せ経済社会研究所(東京)の枝廣淳子所長。候補地への働きかけに限定せずに、社会全体に働きかけての合意形成が必要とする。

 枝廣氏はこう続ける。「原子力やエネルギーの未来は国民との対話によって決まる時代がやってきた。新しい対話や社会的合意のプロセスを試行錯誤していかなければならない」(第5章おわり)


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