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「原発マネー」依存体質脱却なるか もんじゅとプルサーマル(13)

  • 2010年3月27日
  • 12:50
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原子力機構の特許技術を活用して改良した山田技研の路面状況判定センサー。福井県内外の道路で採用されている
原子力機構の特許技術を活用して改良した山田技研の路面状況判定センサー。福井県内外の道路で採用されている

連載「動き出す2つの環 もんじゅとプルサーマル 第2部・もんじゅ迫る判断 (7)地域、産業の自立」

 1995年12月のナトリウム漏れ事故で運転の止まった高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)が、発電所プラントとしての役割を果たしたのは同年8月の初送電からわずか4カ月足らず。しかし、14年余の長期停止の間にも、固定資産税や国の交付金など多大な“原発マネー”が地元に転がり込んできた。

 商業用原発では一般的に、営業運転(本格運転)の開始を基準として固定資産税が課税される。しかし、敦賀市は、研究段階の原型炉というもんじゅの特殊性から、初送電から課税対象になると判断。国や当時の動力炉・核燃料開発事業団も了承せざるを得なかった。

 初年度に当たる96年度に約75億円が入った。減価償却が進んだ2007年度でも19億5900万円、08年度17億7400万円、09年度18億1千万円に上る。累計では数百億円の規模だ。特例扱いで課税に応じたことに対し、当初「国費の無駄遣い」との批判も出た。

 もんじゅを対象にした国の交付金も事故後に新設された。97年度には、核燃料サイクル施設の立地を円滑に進めるとの名目でリサイクル研究開発促進交付金。その約24億円を充てて敦賀市が建設したのは、2002年の開業以来、赤字経営が続く温泉施設「リラ・ポート」だ。08年度には高速増殖炉サイクル技術研究開発推進交付金が設けられ、敦賀市は20億円の交付を見込む。反対派は「地元を黙らせるつかみ金」とやゆする。

 多額の税収や交付金などを使い地域のインフラが整備されたが、原発への依存度は増した。

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 「敦賀にいて原発が身近にあるにもかかわらず接点もなかった。遠い存在だった」。建設機械の修理・販売・レンタルを行っている大鉄建機(敦賀市)の谷口清治社長はこう語る。

 同社は、技術相談会を通して知った日本原子力研究開発機構の技術を活用。パワーショベルなど大型重機の足元のゴムクローラを冷凍し、衝撃を与えることでゴム、鉄、ワイヤに分離する技術で特許を取得した。谷口社長は「最先端の原子力産業の技術を応用し、新しい技術をつくり出す。さらに地元企業と共同で形にすることが必要。地元の活性化にもつながる」と強調する。

 融雪システムなどの技術開発、製造販売を行う山田技研(福井市)も、主力製品の路面状況判定センサーを原子力機構の特許技術を活用して改良。80%弱だった判定精度が90%台に向上した。同社のセンサーは、県内外の高速道路や国道で採用されている。

 山田忠幸社長は「原子力とつながりの薄い業種でも、思いがけない技術が課題解決に役立つ」という。原子力関連技術の活用を広げるためには、行政や研究機関が企業と電力事業者を橋渡ししながら、資金、人材面でいま以上に集中支援する体制が必要だと説く。

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 両社に共通するのは、原子力関連技術をシーズとしつつも、努力や工夫で独自の道を切り開いてきた点だ。

 地場産業振興を目指し県が進めるエネルギー研究開発拠点化計画では、数値目標が設定されている。策定から丸5年が過ぎ、新産業、新技術創出の動きは少しずつ出始めているものの、目標に届いていない。

 「財政面で原発に依存するだけでなく、人材育成も含め産学官の連携が重要」と谷口社長は訴える。自立した地域、産業づくりへの足取りは緩やかだ。(第2部おわり)

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 2010年3月、もんじゅの運転再開を認めるか、福井県と敦賀市の判断が迫っている。安全性や地域振興、合意形成など何が問われているのかを検証する。


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