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中間貯蔵施設誘致を反対派が提言 原発の行方・第5章(14)

  • 2013年2月19日
  • 05:00
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中間貯蔵施設の誘致を提言した松下照幸さん(左)と誘致に前向きな山口治太郎町長(写真は美浜原発をバックにしたコラージュ)
中間貯蔵施設の誘致を提言した松下照幸さん(左)と誘致に前向きな山口治太郎町長(写真は美浜原発をバックにしたコラージュ)

 長く脱原発運動に取り組んできた元福井県美浜町議の松下照幸さん(64)は昨年9月、使用済み核燃料の中間貯蔵施設の町内受け入れを柱とする独自の政策を町に提言した。

 関西電力の原発3基が立地する美浜町で、山口治太郎町長や町議会は中間貯蔵施設の立地にも前向きだ。加えて、反対派住民が誘致を求めるという異例の状況となった。

 提言に対して松下さんは、脱原発グループの仲間からも批判を受けた。「本当は言いたくなかった」。取材中には涙を浮かべ「苦渋の思い」と声を振り絞った。

 原発推進、脱原発と対極的な立場にありながら、ともに中間貯蔵施設を求める背景には、長く原発と共存してきた町ならではの複雑な構図が横たわっている。

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 美浜原発1、2号機はともに運転開始後40年を超えている。3号機も36年。東京電力福島第1原発事故を受けて改正された原子炉等規制法は、運転期間を原則40年に制限すると定めた。地元は安全性をめぐる不安と、原発がなくなった場合の雇用の不安に直面している。

 「都会の反対デモのように原発停止、廃炉を大合唱しても、使用済み核燃料や地元の問題は何も解決しない」と松下さんは言う。「廃炉が決まってからでは雇用が途切れる。前向きに考えて仕事をつくり、原発がなくても自立できるリアリティーのある政策を提案したい」。軟着陸する方策として提言では、廃炉作業やタービン建屋、跡地の工場利用、自然エネルギー開発特区のほか、使用済み核燃料の保管税や支援制度を示した。

 しかし、廃炉を前提とした松下さんの提言に、町が応じる気配はない。

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 町議会は2004年、中間貯蔵施設の誘致を決議し、山口町長が関電に立地調査を要請した。町長は、決議と要請は今も継続しているとの認識だ。「使用済み燃料が(原発内の貯蔵プールで)満杯になると予想される。原発を安全に動かすために中間貯蔵しないといけない」とも説明する。

 福島の事故を教訓に、プールでの湿式貯蔵でなく、キャスクと呼ばれる金属製の専用容器に収める乾式貯蔵とし、美浜、大飯、高浜原発からの使用済み核燃料受け入れを念頭に置いている。

 町の本年度当初予算は一般会計が約65億円。歳入のうち約45%は原発関連だ。ただ、古い原発は先行きが見通せず、美浜1号機を後継機に置き換えるリプレースも調査が止まったまま。中間貯蔵施設は生き残りを探る手だてと言える。

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 町内誘致を求める地元の動きと対照的に、県は一貫して「県外」と主張してきた。

 山口町長は県の姿勢を「この問題にあまりにも無責任な消費地や国民に考えてもらうためだ」とみる。ただ「原発立地地域以外での設置は難しい。消費地での住民理解は得られないと思う」とも指摘する。

 松下さんは「どうしようもない核のごみを生み出したのだから、条件付きで責任を持って解決する必要がある。廃炉後の地域ビジョンをつくり、国の支援を受けるプログラムが必要」と主張。目標はあくまで脱原発で、停止中の美浜原発の早期再稼働やリプレースを求める町長の方針を批判し「町とは同床異夢だ」と語った。


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