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高速増殖炉もんじゅで廃棄物減量 原発の行方・第5章(15)

  • 2013年2月20日
  • 05:00
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高レベル放射性廃棄物の減量研究に重点を置く方針が示されている高速増殖炉「もんじゅ」=2012年5月、福井県敦賀市白木(福井新聞社ヘリから撮影)
高レベル放射性廃棄物の減量研究に重点を置く方針が示されている高速増殖炉「もんじゅ」=2012年5月、福井県敦賀市白木(福井新聞社ヘリから撮影)

 「国際的な協力の下、高速増殖炉開発の成果の取りまとめ、廃棄物の減量と有害度の低減を目指した研究を行う」。2012年9月、民主党政権が策定した新たなエネルギー戦略で、高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)はこう位置付けられた。

 1兆円を超す事業費が投入されながら十分な成果が出ていないため、素案では廃炉とされた。しかし、協議の大詰めの段階で、超長期にわたり強い放射線を出す核廃棄物の有害度を減らし、減量化するという役割がにわかにクローズアップされた。

 使用済み核燃料を再処理した際に生じる高レベル放射性廃棄物にはアメリシウム、ネプツニウムといった1万年の毒性を持つ放射性元素「マイナーアクチニド(MA)」が含まれる。もしMAを除去できれば、廃棄物の毒性は一気に数百年にまで短縮でき、最終処分の量も減るという。

 MAを消滅させる技術研究は、日本をはじめフランス、米国など世界の原発保有国で研究が進むが、液体金属を冷却材とした高速炉などで燃やす構想が中心。軽水炉では燃焼できず、もんじゅで研究しようというのだ。

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 文部科学省の作業部会は現在、年限を区切ったもんじゅの研究計画の策定中だ。日本原子力研究開発機構は今後10年程度運転する案を示し、MAの燃焼研究も提示している。

 もんじゅは1995年のナトリウム漏れ事故で14年余り停止する間に、炉心に装荷された燃料のプルトニウムの一部がアメリシウムに変化。既に燃料にMAが含まれている。日仏米の共同研究でMA入りの燃料をつくって燃焼試験をする案も考えられている。

 発電しながら燃料を増殖するのが本来目標の高速増殖炉は、現段階では実用化の道筋は見通せない。原子力機構の安部智之・次世代原子力システム研究開発部門副部門長は「今の状況で高速増殖炉の具体化はなく、将来のオプションの一つ。一方で廃棄物の減量が脚光を浴び、開発計画の順序なども変わってくる」と説明する。

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 核廃棄物の減量には、高速炉以外にも加速器駆動未臨界炉(ADS)という構想がある。高速炉は発電しながら少量のMAを燃やすのに対し、ADSはMAを集中的に燃やす専用炉だ。加速器を使い未臨界状態のため、高速炉より安全性が高いという。ただ、原子力機構や京都大などの研究はまだ基礎段階で、実現の見通しは立っていない。

 高速炉やADSのほか、使用済み燃料からMAを分離する施設、専用の再処理工場の実用化にめどが立たない限りは、MA燃焼のサイクルは夢物語のままだ。分離や再処理技術も現状では基礎研究レベルにすぎない。

 「高速炉は技術的に難しく、脱原発の流れを見ても建設は無理」と指摘するのは吉岡斉・九州大副学長(科学史)。高速炉の実現のめどが立たないのに、廃棄物の減量を研究しても無意味だと批判し「もんじゅの延命のための理由付けにすぎない」と切り捨てる。

 一方、もんじゅをめぐる文科省の作業部会で座長を務める山名元・京都大原子炉実験所教授は「福島の事故後、国民は廃棄物の問題を重く受け止めている。減量化の可能性の研究を社会に提示していくのは、技術者の役目」と強調した。


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