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最終処分場建設地探しの公募限界 原発の行方・第5章(8)

  • 2013年2月11日
  • 05:00
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高レベル放射性廃棄物処分場建設地の選定手順
高レベル放射性廃棄物処分場建設地の選定手順

 高レベル放射性廃棄物を地下深く埋める最終処分場の建設地を探すため、電力業界が出資して設立された原子力発電環境整備機構(NUMO)は2002年から、事前調査を受け入れる自治体を公募している。

 事前調査は▽地層や地震、地下水などの資料を基に行う「文献調査」▽ボーリングなどを行う「概要調査」▽地下施設を造って適地か調べる「精密調査」―の3段階で、計20年程度かけて行う予定だ。

 応募した自治体や県、周辺自治体には、調査の段階に応じて多額の電源3法交付金が国から配分される。現在は文献調査で年10億円、概要調査で年20億円の交付が決まっている。

 これまで10程度の自治体が関心を示したとされるが、10年以上たった今も、調査に着手するめどさえ立っていない。

  ■  ■  ■

 03年4月、全国で初めて応募を検討している自治体として名前が表に出たのは福井県和泉村(現大野市)だった。ただ、当時を知る元村職員は官民一体のまちづくり会議の中で「地域おこしのアイデアの一つとして浮上しただけ」と証言する。

 NUMOから説明は受けたが、九頭竜川上流域への誘致は難しいとの判断から「村議会の議事録に残るレベルまでの検討には至らず、話は立ち消えになった」という。

 その後、地方の財政が厳しさを増す中で、億単位の交付金を当て込み、一歩踏み込む自治体も現れた。

 滋賀県余呉町(現長浜市)では05、06年の2回にわたり、町長が議会で誘致検討を表明した。当時町長だった畑野佐久郎さん(78)は「頭の中はひっ迫する町財政のことだけ。正直、処分場誘致が実現しなくても、文献調査の交付金がもらえればいいと考えていた」と告白する。

 ただ、町内では反対運動がわき起こった。1カ月足らずで町民の半数を超す約2100人の反対署名が集まり、畑野さんは06年12月に誘致を断念。反対運動をリードした二矢秀雄さん(64)は「原発の交付金は麻薬と一緒。一度手を挙げて多額の交付金をもらったら、もう後戻りできなくなるのではという不安があった」と振り返る。

  ■  ■  ■

 07年1月になると、人口約3500人の高知県東洋町が初めて文献調査に応募した。しかし、住民は反対運動を展開。町長選で反対派の候補が勝ち、同4月に応募は取り下げられた。

 交付金で自治体をつる手法の限界を露呈したといえ、当時の橋本大二郎高知県知事は「札びらでほっぺたをたたいて進めていく政策」を考え直すべきだと批判した。

 日本学術会議は昨年9月にまとめた提言で「金銭的手段による誘導を主要な手段にしない形での立地選定手続きの改善が必要」と指摘。これを受け原子力委員会は「法制度の見直しを含めた取り組みの再構築作業を開始すべき」との見解を示し、国が前面に出て取り組む姿勢を明らかにするよう強く求めた。

 NUMOはこれまでの反省に立ち、地域で勉強会を重ねるなど「草の根レベルの相互理解活動」を強化する構え。「地層処分の問題を国民に自分のものとしてとらえてほしい」とする。しかし、行き詰まり打開の糸口は簡単には見つかりそうにない。


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