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再処理稼働遅れ受け入れ余地なし 原発の行方・第5章(9)

  • 2013年2月13日
  • 05:00
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全国の原発から使用済み核燃料が運び込まれた再処理工場の貯蔵プール。再処理が進まないまま、ほぼ満杯になっている=2013年1月18日、青森県六ケ所村
全国の原発から使用済み核燃料が運び込まれた再処理工場の貯蔵プール。再処理が進まないまま、ほぼ満杯になっている=2013年1月18日、青森県六ケ所村

 原発の使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出す核燃料サイクル政策で要と位置付けられるのが青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場だ。

 事業主体の日本原燃が1989年に事業指定を申請した段階では97年に完成の予定だった。しかし、16年たった今も本格稼働には至っていない。

 一方、再処理の実施に先行し、2000年には全国の原発から使用済み核燃料の受け入れを始めた。

 同工場の貯蔵プールの容量はウラン量換算で3千トン。貯蔵量は既に2937トンに達し、98%が埋まっている。12年度の受け入れ量はわずか18トンにすぎない。「受け入れ余地はもうほとんどない。早く工場を動かして処理しないと回っていかない」と原燃の赤坂猛広報部長は説明する。

 工場の年間処理能力は800トン。これに対し、全国の各原発では計約1万4千トンが搬出されずにたまっている。フル稼働した場合でも、すべてを処理するには約20年かかる計算だ。稼働が遅れるほど、行き場のない使用済み核燃料はさらに増える。

  ■  ■  ■

 原燃は昨年9月、再処理工場の完成を1年延ばし13年10月とした。工程変更は実に19回目。06年に試運転を始めて以降、トラブルが相次いだためだ。

 試運転の最終段階を迎えた1月中旬、工場を訪ねると、中央制御室では6区画に分かれたフロアのうち、放射性廃液を最終処分できるようにするガラス固化の制御盤だけは未作動だった。

 試運転ではガラス固化体を製造する工程だけでも▽溶融炉にれんが落下(08年)▽配管から高レベル放射性廃液漏れ(09年)▽溶融炉に異物が詰まる(12年)―などのトラブルが続発。技術面の未熟さが露呈した。今後の工程が予定通りに進むかも不透明だ。

 地元の古川健治六ケ所村長は「度重なるトラブルで延期、延期となり、住民にも心配の声があった」と述べ、慎重に試運転完了を目指すよう求めている。

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 再処理工場を稼働するには、原子力規制委員会が12月までに定める新基準を満たす必要がある。試運転が成功しても、安全審査が長引けば稼働はまた遅れる。青森県の八戸良城エネルギー総合対策局長は「一つ一つ課題を解決し、安全審査を合格した先に完成時期がある」と慎重な見方だ。

 稼働が16年遅れとなる中で、当初約7600億円と見込んでいた建設費は約2兆2千億円にまで膨らんだ。

 再処理工場を指し「つぶすにつぶせない巨大な“不良債権”だ」と語るのは、国の原子力政策大綱策定会議のメンバーだった金子勝慶応大教授。稼働の見込みが立たないため原燃は変則的で複雑な会計処理を行い、電気料金に上乗せされる分以外にも巨額の損失が隠れていると指摘する。

 核燃料サイクルの成立には、再処理工場のほかにも課題山積だ。抽出したプルトニウムを燃料に加工する混合酸化物(MOX)燃料工場は、16年3月の完成予定がずれ込む可能性があるという。MOX燃料を使う高速増殖炉「もんじゅ」もずるずる工程が延びてきた。再処理路線自体に厳しい目が向けられている。


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