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六ケ所村、処分地化の不安根強く 原発の行方・第5章(10)

  • 2013年2月14日
  • 05:00
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「高レベル放射性廃棄物の最終処分地にされるという不安の声は常にある」と語る青森県六ケ所村の古川健治村長=2013年1月18日、村役場
「高レベル放射性廃棄物の最終処分地にされるという不安の声は常にある」と語る青森県六ケ所村の古川健治村長=2013年1月18日、村役場

 2012年9月、民主党政権が「2030年代の原発ゼロ」を掲げる新たなエネルギー戦略をまとめた際、原案段階では「核燃料サイクル政策からの撤退」が盛り込まれようとしていた。

 使用済み核燃料の再処理を大前提としてサイクル関連施設を受け入れてきた青森県や地元の六ケ所村は激しく反発した。

 再処理から撤退するならば、英仏両国から返還される放射性廃棄物の受け入れを拒否する。一時貯蔵されている使用済み核燃料の村外搬出を求める―。六ケ所村議会は9月7日、具体的な対抗措置を盛り込んだ意見書を可決し、国に突きつけた。政府は核燃料サイクル維持へと再びかじを切り直すしかなかった。

  ■  ■  ■

 戦略の策定作業が大詰めを迎えた9月6日夜。六ケ所村議会の橋本猛一議長に電話が入った。「10日に閣議決定される予定があります」。相手は日本原燃の川井吉彦社長。サイクル路線見直しの懸念があると耳打ちしてきたのだ。

 「大変なことになる」と直感した橋本議長の行動は素早かった。翌朝、有志議員を議長室に呼んで意見書提出を即決。午前中に会派間で合意し、文面をすり合わせた。午後には本会議を開いて全会一致で可決した。一報が入ってからわずか1日足らず。「閣議決定前に意思を示すのが重要だった。みんなに危機感があった」と振り返る。

 県と村、日本原燃の3者が1998年に交わした覚書には、再処理事業を見直す場合の燃料搬出が明記されている。使用済み核燃料は全国の原発に送り返されるのだ。満杯に近い貯蔵プールは容量がさらにひっ迫。原発はいや応なしに稼働できなくなる。「政府は軽く考えていたに違いない」と橋本議長は語る。

  ■  ■  ■

 村議会が敏感に反応した理由について古川健治六ケ所村長は「なし崩し的に放射性廃棄物の最終処分地にされるのではないかという不安の声は常に住民の中にある」と説明する。

 使用済み核燃料の再処理工場が立地する六ケ所村、中間貯蔵施設の完成が控えるむつ市、大間原発が建設中の大間町、東通原発がある東通村…。下北半島にはサイクル関連を含む県内の原子力施設が集中する。再処理事業がとん挫すれば、行き場のない「核のごみ」をそのまま抱え込む事態に直結しかねない。

 「私どもはごみ捨て場ではない」。三村申吾青森県知事は東京電力福島第1原発事故後、原子力政策大綱の策定会議で幾度となく、安易なサイクル見直し論議にくぎを刺してきた。県は内閣が変わるたび、高レベル放射性廃棄物の最終処分地にはしないとの「約束」を念押ししてもいる。

 政策変更の動きに対しては、宮下順一郎むつ市長も中間貯蔵施設への燃料受け入れ拒否を検討すると表明した。「福島の事故の影響で、リアリズムではなく感情論に訴えたエネルギー政策が決定されつつあった」とし、前提をないがしろにすべきでないと訴える。

 「サイクル政策は、四半世紀以上の時間を積み重ね、苦難の道のりを越えて村民から理解されている」。古川村長は国策を支えてきた自負をのぞかせる一方で「政策見直しのときには何の相談もなかった」とあらためて憤りをあらわにした。


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