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日本学術会議が地層処分転換提言 原発の行方・第5章(6)

  • 2013年2月8日
  • 05:00
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英仏両国から返還されたガラス固化体を貯蔵している高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター。最終処分地は決まっていない=1月18日、青森県六ケ所村
英仏両国から返還されたガラス固化体を貯蔵している高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター。最終処分地は決まっていない=1月18日、青森県六ケ所村

 原発の使用済み核燃料を再処理して出てくる高レベル放射性廃棄物の処分方法をめぐり、日本学術会議は昨年9月、「いったん白紙に戻すくらいの覚悟で見直すことが必要」と国の原子力委員会に提言した。

 解決策を見いださないまま「出口なき前進」を重ねてきた問題に正面から向き合い、現実を踏まえて政策転換するよう一石を投じた。

 提言は、廃棄物を地下300メートルより深い地層に埋めて数万年管理するのではなく、数十年から数百年かけて「暫定保管」し、その間に地層の安定性や廃棄物の減量化の研究開発を進めるとの内容だ。また、処分のめどが立たないのに新たな廃棄物が増え続けないよう抑制する「総量管理」も提案した。

 長年進めてきた政策の根幹にかかわるだけに、関係者に波紋を広げた。

 国は「現世代の責任で戦略を構築するのが望ましい」(資源エネルギー庁放射性廃棄物等対策室)と暫定保管に否定的だが、「現段階で最も現実的な方策」(金子勝慶応大教授)といった評価も少なくない。

  ■  ■  ■

 地震や火山活動が多い日本に地層処分の適地があるのかといった疑問を挙げ「絶対安全とは言えない。現時点での科学的知見の限界を認識する必要がある」と指摘するのは、提言をまとめた検討委員会の山地憲治副委員長(地球環境産業技術研究機構理事)。

 検討委員長の今田高俊・東京工業大大学院教授は「今の世代が責任を持って処分できるのか」と語る。

 提言には、現行政策にしがみつくのではなく、議論や研究が進み、社会的な合意が得られるまでの“時間稼ぎ”の意味合いもあるという。

 原発の運転で出た使用済み燃料は再処理し、同時に発生する高レベル放射性廃棄物は、ガラス固化体にして最終処分するのが現行路線。だが、日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)は本格稼働が当初計画より16年遅れ、原子力発電環境整備機構(NUMO)による最終処分地探しは暗礁に乗り上げたままだ。

 現行政策の行き詰まりについて提言は「説明の仕方の不十分さというレベルの要因ではなく、より根源的な次元の問題に由来していると認識すべきだ」と手厳しく指摘している。

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 福島第1原発事故を契機に、原子力政策に対する国民の理解を得るのは困難になった。核燃料サイクルについても原子力委員会は昨年6月、原発の依存度が低下する点を踏まえ、再処理と直接処分の併存を有力な選択肢として示した。全量再処理からの転換だった。

 「必要な量を必要な時期に再処理し、不要な分は直接処分するという選択肢ができる」。見直しを主導した原子力委の鈴木達治郎委員長代理は併存の意義をこう説く。

 しかし、原子力委員会自体が抜本的見直しの対象となり、事実上機能を停止。核燃料サイクルの見直しや学術会議の提言がどう扱われるのかは見通せない。

 廃棄物の処分は、原発を維持しようが、ゼロにしようが、避けては通れない重い課題だ。

 今田教授はこう語る。「これまで圧倒的多くの国民は核廃棄物の問題を知らなかった。後処理問題は語らないようにされてきたが、提言で国民に認識が広まり、そうもいかなくなった」


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