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福島第2原発廃炉表明を巡る東電の思惑 「第1」汚染水の海洋放出交渉、円滑化狙う

  • 2018年6月15日
  • 09:28
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東京電力福島第2原発(左上)、小早川智明・東電社長(右上)、福島県富岡町の中心部(右下)、内堀雅雄・福島県知事(左下)のコラージュ
東京電力福島第2原発(左上)、小早川智明・東電社長(右上)、福島県富岡町の中心部(右下)、内堀雅雄・福島県知事(左下)のコラージュ

 東京電力の小早川智明社長が、福島第2原発の廃炉方針を初めて明言した。第1原発事故から7年あまりの遅すぎた廃炉表明。地元の要請に応じた姿勢を見せるが、「交渉カード」を東電にとって都合の良い局面で切り、第1原発の廃炉・汚染水を巡る交渉を前進させたいとの思惑が透ける。廃炉の具体的道筋は示されておらず、実現のめどは全く立っていない。


 ◆神妙


 「このままあいまいな状態を続けることが福島復興の足かせになる。全基廃炉の方向でこれから具体的な検討に入りたい」。14日午前、福島県庁の知事室。内堀雅雄知事と会談した小早川社長は神妙な面持ちで、第2原発の廃炉方針を伝えた。


 第2原発の4基は、炉心溶融事故を起こした第1原発と同じ沸騰水型軽水炉。東日本大震災では、一時的に炉心の冷却機能を失ったが溶融は免れた。東電が新規制基準に適合させて再稼働させる可能性が何度も取り沙汰されてきた。


 第2原発について、政府は判断を東電に委ねた。未曽有の事故を起こした当事者の東電が福島で原発を動かすことは困難とみられていたが、東電はこれまで「国のエネルギー政策などを総合的に判断する」「福島第1廃炉の後方支援に必要だ」などとはぐらかし続けてきた。


 ◆自己都合


 「今こそカードの切り時だと判断したんだろう」。ある政府関係者は、廃炉表明には10月の福島県知事選が背景にあると指摘する。


 内堀知事は2014年10月の知事選で、福島県内の全原発の廃炉を公約に掲げて初当選。第2の早期廃炉を政府と東電に繰り返し求めてきた。再選を目指し今月中にも出馬表明する見通しで、東電の廃炉表明は1期目の大きな成果になる。


 東電にとって、第1原発で汚染水を浄化した後に残る放射性物質トリチウムを含む水の処分は差し迫った課題だ。海洋放出を目指すが、風評被害を懸念する漁業関係者ら地元の理解を得るには、知事ら地元関係者の協力が不可欠だ。廃炉を表明する代わりに汚染水を巡る交渉を進める、そんな自己都合がうかがえる。


 今月10日に投開票された新潟県知事選で、与党が支持する花角英世氏が当選したことも後押しした。経営再建の柱である東電柏崎刈羽原発の再稼働に慎重だった前知事から原発推進の与党が推す知事への交代によって「再稼働が全く見えない最悪の状況は避けられた」(東電関係者)からだ。


 また、ある金融関係者は「福島第2原発を廃炉にしても財務状況を悪化させるインパクトはない。前から廃炉前提だった」と分析する。


 小早川社長は就任1年。廃炉表明し、自身の存在感を示すことにも成功した。


 ◆白紙


 「第2原発が再稼働し、再び事故が起こるのでは」との不安が、被災住民の帰還を妨げてきた。内堀知事は第2原発の廃炉が「帰還を迷う人にプラスのメッセージになる」と主張する。根強く残る観光業や農林水産業での風評被害の払拭(ふっしょく)にも期待する。


 だが廃炉の具体的な見通しは全くの白紙状態。東電は「正式決定ではない」としており、実際は廃炉表明前の状況と何も変わっていない。東電に翻弄(ほんろう)される福島の苦悩は続く。



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