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核のごみ埋設、フィンランド先行 原発の行方・第5章(1)

  • 2013年2月1日
  • 05:00
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最終処分場建設の調査をしている地下施設「オンカロ」で、深さ420メートル付近に掘られたトンネル=2013年1月14日、フィンランドのオルキルオト島(日本記者クラブ取材団代表撮影)
最終処分場建設の調査をしている地下施設「オンカロ」で、深さ420メートル付近に掘られたトンネル=2013年1月14日、フィンランドのオルキルオト島(日本記者クラブ取材団代表撮影)

 原発の運転によって生じる使用済み核燃料をどうするか。数万年単位で強い放射能を出し続ける「核のごみ」の最終処分は、日本をはじめ世界の原発保有国が頭を悩ませる問題だ。

 2001年、世界で初めて最終処分場の建設地を決めたのはフィンランド。400メートル超の地下深くに使用済み核燃料を埋める計画だ。昨年末には建設許可の申請にこぎ着けた。早ければ来年6月にも許可され、2022年の操業開始を目指す。

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 処分場を造るのは、首都ヘルシンキから北西約250キロにあるオルキルオト島。1月中旬、ほぼ陸続きの島へバスで入ると、雪に覆われた森の中に、朱色の巨大な構造物が姿を現した。オルキルオト原発だ。

 フィンランドで稼働中の商業用原発4基のうち2基がこの島にある。さらに、世界最大級となるオルキルオト3号機の建設が進み、4号機の建設計画もある。

 ここから東へ約2キロの場所に、使用済み核燃料を地下埋設する岩盤の特性を調べるための試験施設「オンカロ」がある。04年から建設が始まり、調査は最終段階を迎えている。オンカロとはフィンランド語で「洞窟(どうくつ)」「隠す場所」の意味だ。

 地下へと向かうトンネルは全長約5キロ。ごつごつした岩肌の薄暗い坑道を専用車に乗って緩やかに下っていくと、約15分で地下420メートルに到着。実際に使用済み核燃料を埋める深さだ。最深部は440メートルになる。

 オンカロと最終処分場の建設、運営を担うのは民間のポシバ社。オルキルオト原発を運営する電力会社のTVO社と、ヘルシンキの東側に立地するロビーサ原発2基を持つフォルトゥム社が共同出資して1995年に設立した。

 最終処分場には、計画中の原発を含め6基分、9千トン(ウラン換算)の使用済み核燃料を埋める予定。ポシバ社のレイヨ・スンデル社長は「政府は当初20年の処分開始目標を立てていたが、おおむね計画の範囲内」と順調さをアピールした。

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 使用済み核燃料の扱いは国によって異なる。

 フィンランドは特殊な容器に入れ、そのまま地下深くに埋める「直接処分」方式だ。

 これに対し日本は、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し、高速増殖炉やプルサーマルで再利用する「再処理」路線。再処理で出た高レベル放射性廃棄物はガラス固化体にして地層処分する方針だ。しかし、候補地は見つからず、手詰まり状態が続いている。

 再処理する英国、フランス、脱原発に転じたドイツ、直接処分する方針の米国なども最終処分場のめどは立っていない。

 最終処分でフィンランドが他国に大きく先行するのは、1980年代から問題を直視して取り組んできたからにほかならない。

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 フィンランドで初の原発が運転を開始したのは1977年。政府は6年後の83年、使用済み核燃料の最終処分場を選定するスケジュールを策定した。2000年までに処分場を決定し、20年には操業を始めるという目標を定めたのだ。

 78年にオルキルオト原発1号機が運転を始めた当時、政府は5年間しか運転期間の許可を与えなかった。「運転を続けるためには、最終処分の計画を立てる必要があるとの意図だ」と、ポシバ社の担当者は説明する。同国の法律は、原発から出る核のごみの全責任は電力会社にあると明記している。

 当初は同原発を運転するTVO社が最終処分の技術研究を重ね、処分候補地の選定作業に当たった。95年からはポシバ社が引き継いだ。全国の候補地の中から、原発の立地するオルキルオト島を選定。01年には国会承認を受け、正式決定した。

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 エネルギーをめぐりフィンランドには「独立」を重んじる空気が強いという。かつて支配を受けたロシアに依存したくないという心理が根底にあるというのだ。

 今もロシアから電力の十数%を輸入してはいるが、エネルギー自立の点から原発容認の意見は多い。

 使用済み核燃料をめぐっても、フィンランド政府は94年に輸出入を禁止した。それまでは旧ソ連製のロビーサ原発からロシアに輸出していたが、自国で最終処分する姿勢を鮮明にした。

 エネルギー政策を所管するヤン・バパーボリ雇用経済相は「国民が原発に賛成する理由の一つは、最終処分の対応が明確になっているからだ」と語る。国内で最終処分問題をクリアしているからこそ、原子力政策が推進できるというわけだ。

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 日本では70年代から地層処分の技術的な研究はしていたものの、国の最終処分計画が決まったのは00年。処分事業の実施主体として、電力業界の出資で原子力発電環境整備機構(NUMO)が設立され、02年から処分場選定に向けた調査地の公募を始めた。だが、これまで応募があったのは1件だけ。しかもあえなく撤回された。

 使用済み核燃料を再処理し、高レベル放射性廃棄物をガラス固化体にする青森県六ケ所村の再処理工場は、操業延期を繰り返している。全国の原発から受け入れた使用済み燃料を貯蔵するプールの容量も限界に近い。

 その結果、国内の原発では行き場のない使用済み燃料がたまり続け、運転を続ければ数年で貯蔵プールが満杯になる原発も少なくない。原発敷地外で一時的に保管する中間貯蔵施設も、西日本では立地のめどが立っていない。

 フィンランド雇用経済省エネルギー局のヘルコ・フリート次長はこう指摘する。

 「フィンランドは国が責任を持って最終処分の施策を進め、将来世代に先延ばしせずに処分を確立した。日本も処分技術の開発能力は十分あるはずだ。ただ、政治が一体的に方向性を決めなければ進んでいかない」


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