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寺島実郎氏、原子力技術の維持を 原発の行方・第4章(5)

  • 2012年8月25日
  • 05:00
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「原発を一定程度維持しながらベストバランスの電源構成を考えるべき」と語る寺島実郎氏
「原発を一定程度維持しながらベストバランスの電源構成を考えるべき」と語る寺島実郎氏

 エネルギーの外部依存が高い日本にとってのエネルギー戦略はどうあるべきか。日本総合研究所理事長の寺島実郎氏は、エネルギー安全保障の視点から原発の位置付け、ベストバランスを論じてきた。総合資源エネルギー調査会の基本問題委員会でも「はやりの議論」に流されない冷静な検討を求めた。取材に対し寺島氏は、中東情勢が風雲急を告げ、新興国がエネルギー需要を高める中、一定程度の原発が必要と指摘。日本は徹底して原子力を平和利用してきた国であり「技術立国日本がエネルギー情勢を不安定化させる側に回ってはいけない。国際社会のエネルギー情勢を安定させ、比較的廉価に確保することが重要な戦略」と訴えた。

 ―一定程度の原発維持が必要と主張するが、どういう背景からか。

 「東アジアでは、中国が2030年までに原発80基で8000万キロワット、韓国は目標24基、台湾が6基を計画中であり、100基以上の原発が日本を取り巻くことになる。この動向を考えたなら、日本は専門性の高い原子力の技術基盤を維持し、若い技術者を育成しなければ、国際社会でのエネルギーに関する発言力、交渉力、そして貢献も一切失ってしまう。日本は平和利用だけに徹してきた国であり、技術基盤がなければ平和利用の議論に参加することさえままならない」

 ―政府のエネルギー政策の見直しはどうみる。

 「三つのシナリオをアンケートのように問い、大きな判断材料にすることには深い疑念を持っている」

 「ただ、自分自身も選択肢を決める議論の場に参画していた。原発の電力構成比でいうと、17%が原発を維持するベストミックスだ。原子炉は進化しており、福島第1原発のような古い第1世代に比べ、1990年代以降の2・5世代の原発は比較にならないほど安全面で進化している。それが全国54基のうち20基ある。古くなった一定のリスクを認識せざるを得ない原発を順次廃炉にしていくと17%になる」

 ―全国で開かれた意見聴取会では原発比率0%いう意見が大半だ。今後原子力利用を進めるためには、信頼の失われた国の体制をどう再構築すべきか。

 「巨額の賠償が発生したときに果たして民間で対応できるのかというのが福島の教訓。9電力会社から原子力だけ分離して、国策統合会社で原発は運営すべきだ。また、経済的に企業内で優先度を考える場合、廃炉にしようという判断は鈍くなる。国策会社なら、日本全体のプラントをみながら大きな判断ができる」

 ―原発が曲がり角を迎える中、立地地域の福井県の進むべき道は。

 「福井県には(廃炉中を含め)15基の原発があり、全国で最も課題を背負っている。廃炉にするにも原子力の専門家は必要で、相当な研究開発が不可欠だ。国の政策で、真剣にこの分野を支えてくれる若者を育てていく覚悟が必要。技術者が明確な方向感と誇りを持って研究開発に打ち込める環境をつくるべきだ」(第4章おわり)

 寺島実郎氏(てらしま・じつろう)早稲田大大学院政治学研究科修士課程修了。1973年、三井物産に入社し、米国三井物産ワシントン事務所長などを歴任。現在は日本総合研究所理事長のほか、多摩大学長、三井物産戦略研究所会長を兼任する。「世界を知る力 日本創世編」など著書多数。65歳。


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